野兎病菌亜種間の病原性相異および動物種間の野兎病感受性の相異に関する研究

文献情報

文献番号
201123061A
報告書区分
総括
研究課題名
野兎病菌亜種間の病原性相異および動物種間の野兎病感受性の相異に関する研究
課題番号
H23-新興・若手-022
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 明豊(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,549,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物由来感染症、野兎病の起因菌、Francisella tularensisはグラム陰性の通性細胞内寄生菌である。日本分離のF. tularensis株は欧米由来の株と遺伝学的性状が異なるが、その詳細は明らかでない。国立感染症研究所には国内外で分離された多数のF. tularensis 株が保有されているが、その病原性解析はされていない。近年、国内の斃死ノウサギより新たにF. tularensis が2株分離されたため、保有株と併せて株間の病原性比較を目的に性状解析した。
研究方法
グリセロール発酵試験、エリスロマイシン感受性試験および遺伝子解析により各株の分類をした。またアクリフラビン反応、補体感受性試験、リポ多糖体に対する抗体の反応、遺伝子解析より弱毒株を選別した。各亜種、各生物型の代表株についてJ774.1細胞における菌液接種後2と24時間の細胞内の菌量の増減から細胞内増殖性を、またマウスへの腹腔内、皮内接種により病原性を比較解析した。
結果と考察
各種性状解析により保有株は5つの亜種および生物型、少なくとも6つのgenotypeに分けられ、7株は弱毒化していると考えられた。細胞内増殖性より細胞内非増殖性(30株)、低増殖性(8株)および高増殖性(5株)の3グループに分けられた。非増殖性であった10株をマウスに腹腔内接種したところ、全株がマウスに非致死的であった。低増殖性であった3株をマウス腹腔内接種したところ、マウスは体重減少や斃死し、病原性を示したが、皮内接種では非致死的であった。新規分離2株を含む高増殖性であった全5株は10^2cfu皮内接種においても全8匹のマウスを斃死させた。新鮮分離のNVF1株は極めて病原性が高かったが人工培地で継代したところ、その細胞内増殖性は継代20代で低増殖性、30代で非増殖性に変化した。細胞内増殖性の測定は病原性指標になると考えられた。
結論
海外由来全15株を含む保有46株は人工培地による連続継代により弱毒化されている可能性が示唆され、本研究の目的である野兎病菌亜種間の病原性相異の解析は困難であると考えられた。今後、日本国内へのF. tularensis侵入、バイオテロ対策にむけ、新たに本菌病原株を海外の研究機関より輸入し研究を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123061Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,549,000円
(2)補助金確定額
1,549,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,149,773円
人件費・謝金 0円
旅費 326,960円
その他 72,267円
間接経費 0円
合計 1,549,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-05-26
更新日
-