HTLV-1感染症予防ワクチンの開発に関する研究

文献情報

文献番号
201123057A
報告書区分
総括
研究課題名
HTLV-1感染症予防ワクチンの開発に関する研究
課題番号
H23-新興・一般-029
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 俣野 哲朗(国立感染症研究所 エイズウイルス研究センター)
  • 梁 明秀(横浜市立大学大学院 医学研究科)
  • 外丸 詩野(北海道大学大学院 医学研究科)
  • 田中 正和(関西医科大学・微生物学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
31,190,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HTLV-1は国内に100万人を超える感染者がおり過去20年間でその数は僅かに減ったのみである。今後日本国内から感染者を減らす為に感染予防ワクチン及び成人T細胞性白血病(ATL)発症予防ワクチンの開発を目的とする。
研究方法
ワクチン抗原として感染防御に対してはenvタンパクを、発症予防に対してはHTLV-1がコードするすべての全長タンパク質を合成し最適な抗原の選定を行う。感染の予防を目指して粘膜免疫を利用し母乳への抗体誘導の試みや発症予防を目指しHTLV-1感染細胞を標的とする細胞性免疫反応の増強法の開発のため細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応の誘導を行う。
結果と考察
HTLV-1がコードするすべての全長タンパク質を無細胞系で合成する事に成功した。またモデル高原を用いてマウスを用いモデル抗原で免疫し母乳中への抗体誘導に成功した。CTL増強のためのデリバリーシステムとして有用と考えられるセンダイウイルスベクターを用い、感染慢性期のウイルス抗原特異的CTL増強能を確認した。またワクチンの評価系としてHTLV-1感染ヒト化マウスにおいてATL様病態と抗HTLV-1ヒト宿主免疫系が再現できる事が確認されヒト免疫系を基盤としたHTLV-1関連疾患発症予防ワクチン開発における動物モデルとしての利用が期待される。
結論
ワクチン抗原候補の検討の為HTLV-1がコードする7種類のウイルス遺伝子(gag, env, TAX-1, HBZ, p27REX, p27I, p30II)産物が合成できた。ワクチン抗原を妊娠前の母体に経粘膜投与する事により出産後の母乳中にワクチン特異的な抗体が誘導される事が示された。またCTL増強のためのデリバリーシステムとして有用と考えられるSeVベクターのサルへの経鼻接種実験により、ウイルス潜伏感染慢性期の抗原特異的CTL増強能を確認した。HTLV-1感染およびワクチン評価の為のモデルとしてヒト化マウスでのHTLV-1感染及びATL様疾患の発症が確認されプロテアソームβ5t-Tgマウスでは免疫老化が確認された。これらの研究結果を有機的に結び付けてHTLV-1ワクチンの開発につなげる。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123057Z