25年間継続した妊婦のHTLV-I抗体検査から得られた母子感染予防効果の検証および高精度スクリーニングシステム開発

文献情報

文献番号
201123054A
報告書区分
総括
研究課題名
25年間継続した妊婦のHTLV-I抗体検査から得られた母子感染予防効果の検証および高精度スクリーニングシステム開発
課題番号
H23-新興・一般-026
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
増崎 英明(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座(産婦人科))
研究分担者(所属機関)
  • 吉浦 孝一郎(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 上平 憲(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 森内浩幸(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 木下 晃(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 三浦 清徳(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 山崎 健太郎(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 三浦 生子(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題の目的は、妊婦のHTLV-I感染症スクリーニングがもたらす母子感染予防効果を検証し、HTLV-Iの母子感染経路の全容解明と高精度スクリーニングシステムを開発することである。目的完遂のために、平成23年度は、長崎県における妊婦とキャリアから産まれた児のHTLV-I検査システムに定量的PCR検査法を導入する。また、1987年より25年間継続した妊婦HTLV-Iスクリーニング事業の成果を検証する。
研究方法
1)妊婦のHTLV-Iスクリーニングシステムに定量的PCR法を導入する。2)25年間に集積されたデータを用いて妊婦HTLV-Iスクリーニングの有効性について検討する。
結果と考察
1) HTLV-Iウイルスの定量的PCR法を長崎県における妊婦のHTLV-I検査システムに導入した。平成23年に9,711名の妊婦をスクリーニングし、117名の妊婦が1次検査でHTLV-I陽性もしくは疑陽性と診断された。そのうち15例は(15/117例;12.8%)、2次検査で行ったウエスタンブロット法で判定保留と判定された。それらに定量的PCR法を併用し、10例(10/15例;66.7%)が陽性、5例(5/15;33.3%)が陰性と判定された。最終的に102名がHTLV-Iキャリアと診断された。
2) 妊婦のHTLV-I感染症スクリーニングがもたらす母子感染予防効果の検証:長崎県における妊婦のHTLV-1抗体陽性率は1987年の時点には7.2%であったが、2003年には2.0%以下になり、2011年には1.0%にまで低下していた。2001年から2011年のHTLV-1キャリア妊婦の陽性率を出生年代別にみると、母乳抑制の介入が始まった1987年以前に出生した妊婦におけるHTLV-1抗体陽性率は1.51%(1472/97634例)であるのに対して、1987年以降に出生した妊婦におけるそれは0.70%(38/5448例)であった。後者における長崎県のHTLV-1キャリア率はキャリア率が低頻度の関東や関西地域とほぼ同レベルにまで低下していた。
結論
1)長崎に定量的PCR検査法を導入した妊婦のHTLV-Iスクリーニングシステムを確立した。2)妊婦のHTLV-Iスクリーニングとキャリア妊婦に対する母乳抑制はHTLV-I母子感染予防とATL撲滅に有効と示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-07-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123054Z