経鼻インフルエンザワクチン等粘膜ワクチンの有効性に関する研究

文献情報

文献番号
201123049A
報告書区分
総括
研究課題名
経鼻インフルエンザワクチン等粘膜ワクチンの有効性に関する研究
課題番号
H23-新興・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 奥野 良信(一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
  • 新井 洋由(東京大学 大学院薬学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
26,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
経鼻インフルエンザワクチンは誘導される免疫が既存のワクチンと異なる為その有効性の評価方法が確立していない。そこで本研究では、経鼻インフルエンザワクチンの有効性に関する評価法を確立し判断基準を提案、作成することを目標としている。また経鼻インフルエンザワクチンの有効性を高める目的で新規アジュバント候補および免疫増強メカニズムの解明のと粘膜ワクチンの有効性を高める創薬基盤を確立することを目的とする。
研究方法
健常人ボランティア約50名に対して季節性インフルエンザ全粒子不活化ワクチンを経鼻接種し、血清及び鼻腔洗浄液中に誘導される抗体応答の評価系を確立した。濃縮した鼻腔洗浄液と血清を用いHI抗体価、中和抗体価、特異的IgG抗体、IgA抗体のELISA抗体価を測定し、EMEAの有効性判断基準を参考に評価した。また脂質代謝酵素Type8PLA2のマウスでのインターフェロン応答誘導を評価した。
結果と考察
鼻腔洗浄液を濃縮濾過する事により血清と同様にHI抗体価、中和抗体価を評価する系を確立した。本手法に基づき経鼻ワクチンの有効性に関し、血清及び鼻腔洗浄液のHI抗体価、中和抗体価を調べたところ季節性インフルエンザA/H3N2全粒子不活化ワクチンの2回の経鼻接種でEMEAの基準を満たす血清のHI抗体価に加え、鼻腔粘膜にウイルスを中和する抗体が分泌される事がヒトで証明された。
また脂質代謝酵素Type8PLA2欠損マウスでインフルエンザウイルス感染でインターフェロンが増加している事が明らかとなった。
結論
全粒子不活化インフルエンザワクチンの経鼻接種を行った結果、血清中HI抗体は、EMEAにより定められた注射型インフルエンザワクチンに対する有効性判断基準を十分満たすことが明らかとなり、かつ鼻腔洗浄液中には中和活性を有する機能的な抗体が強く誘導されることが明らかとなった。またType 8 PLA2の阻害剤が粘膜ワクチンの有効性を高めるアジュバントとなる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123049Z