顧みられない寄生虫病の効果的監視法の確立と感染機構の解明に関する研究

文献情報

文献番号
201123048A
報告書区分
総括
研究課題名
顧みられない寄生虫病の効果的監視法の確立と感染機構の解明に関する研究
課題番号
H23-新興・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
野崎 智義(国立感染症研究所 寄生動物部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 恒二(国立国際医療研究センター 戸山病院 エイズ治療研究開発センター)
  • 濱野 真二郎(長崎大  熱帯医学研究所)
  • 井上 幸次(鳥取大学 医学部)
  • 八木田 健司(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 中野 由美子(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 津久井 久美子(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 永宗 喜三郎(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 平井 誠(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 丸山 治彦(宮崎大学 医学部)
  • 北 潔(東京大学 大学院医学研究科)
  • 河津信一郎(帯広畜産大学 原虫病研究センター)
  • 山崎 浩(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 杉山 広(国立感染症研究所 寄生動物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
43,434,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
顧みられないが、我が国で問題となる寄生虫症の発生・まん延を防止するのに不可欠である、起因生物の生物学的特質・感染機構の理解、検査・監視体制の確立、予防・治療法の開発、研究基盤の底上げを目的とする。
研究方法
ジアルジア(Gl)・クリプトスポリジウム(Cp)・アカントアメーバ(Ac)症の発生動向調査、分離株の型別を行った。蠕虫症の免疫クロマト診断法・キットを作成・検証した。赤痢アメーバ(Eh)と熱帯熱マラリア原虫(Pf)の耐性株の作成、発現解析、保存検体の遺伝子診断を通じ、薬剤耐性モニタリング法の開発研究を行った。免疫沈降法によりEh病原因子輸送体の同定を行った。Eh等の病態形成をネズミモデルを用い解析した。トキソプラズマ(Tg)の感染における宿主調節因子注入機構を解析した。ネズミマラリア原虫(Pb)の高速変異体を作成した。エキノコックス(Em)呼吸鎖のサブユニットの同定を行った。
結果と考察
Gl・Cpの単クローン抗体を作製し、蛍光抗体用試薬の特異性・感度の良好性を確認した。マンソン孤虫症の抗原3種類の特異性・検出感度を検討した。ウェステルマン2型と宮崎肺吸虫との迅速鑑別が可能となった。アニサキス分泌排泄抗原を用いた診断キットを作製した。日本住血吸虫症の分泌・重配列抗原を用いた酵素抗体法を開発した。HIV感染者のGl・Cp感染実態を検討し、積極的な検体収集と高感度検査法の導入が必要とされた。Ac角膜炎の原因遺伝子タイプはT4が国内で優勢であり、初診察時DNAコピー数が重症度・予後と関連した。アフリカ由来Pf感染検体において、Pyr耐性遺伝子型の90年代の出現が確認された。耐性Eh株の表現型・遺伝子発現像を解明した。Eh病原因子輸送体の機能を解明した。Eh関連種の腸管への感染の遷延・排除におけるIFN等の役割が示された。DNA複製酵素変異体を用い高度変異Pbを作成した。Tgの小胞・寄生胞の形成とGPI蛋白質の挙動から宿主相互作用を解析した。Em呼吸鎖の複合体IIの4補因子・2組立因子を確認した。ブタ・イヌ回虫組換え抗原反応性比較により、原因種の診断を可能とした。
結論
幅広い疾患を対象として多面的な研究が確実に展開され、寄生虫症対策に不可欠な、起因生物・感染機構の理解、検査・診断・治療法の開発に貢献した。保健医療向上、発生動向の正確な把握等、感染症対策に資する。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-01-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123048Z