インフルエンザウイルス複製に関与する宿主因子とウイルス因子のインターフェースを標的とした新規抗ウイルス薬探索の基盤研究

文献情報

文献番号
201123047A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザウイルス複製に関与する宿主因子とウイルス因子のインターフェースを標的とした新規抗ウイルス薬探索の基盤研究
課題番号
H23-新興・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
永田 恭介(筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 朴 三用(横浜市立大学 大学院生命ナノシステム科学研究科)
  • 夏目 徹(産業技術総合研究所 バイオメディシナル情報研究センター)
  • 信澤 枝里(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
22,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既存の抗インフルエンザウイルス薬は、変異率の高いウイルス遺伝子を標的としたものが主体であり、薬剤耐性株が出現しやすい。この問題を克服する一案として、高度に保存されたウイルス因子もしくはウイルス因子に作用する宿主因子とウイルス因子の相互作用を標的とした新規抗ウイルス薬を開発することがあげられる。それには、ウイルス因子と宿主因子の機能および構造を明らかにすることが必須である。
研究方法
精製したウイルス粒子より調製したribonucleoprotein(RNP)複合体を用いた生化学的解析法により、活性を指標にしてウイルス因子および宿主因子の同定ならびに機能解析を行った。また、Molecular dynamics計算およびドッキングシュミレーションにより、化合物を探索し、バイオアッセイにより候補化合物の抗インフルエンザウイルス活性を評価した。
結果と考察
ウイルスゲノム複製とウイルスゲノムのRNP複合体形成を促進する宿主因子として、UAP56を同定し、そのメカニズムを明らかにした。また、転写に必須なウイルスポリメラーゼとキャップ構造の機能構造を決定することに成功した。ウイルスポリメラーゼ複合体の完全長構造解析では、酵素活性を維持したウイルスポリメラーゼ複合体を精製することに成功した。さらに、抗ウイルス薬候補を探索するスクリーニング系を確立する目的で、ウイルスポリメラーゼ複合体の相互作用部位を標的として、in silicoスクリーニングおよびバイオアッセイを行い、化合物No.38を同定した。
結論
UAP56とNPの結合部位を標的とした抗ウイルス薬を同定することで、ウイルスゲノム複製と子孫RNP複合体形成の2過程を阻害することができると考えられる。また、PB2とキャップ構造の結合を標的とした抗ウイルス薬を探索する場合、ともに共通で必須となるグアニン塩基との相互作用部位を標的とした抗ウイルス薬を探索することが、型に依存しない抗ウイルス薬を開発する上で重要であることが示唆された。本年度、独自に構築したin silicoスクリーニング系により、非常に高い効率で目的としたタンパク質間相互作用を標的とした候補化合物を同定することが可能になった。よって、ウイルス因子と宿主因子のタンパク質間相互作用についても解析を展開する基盤技術を構築することができた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123047Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,500,000円
(2)補助金確定額
22,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 16,681,078円
人件費・謝金 5,096,247円
旅費 98,800円
その他 623,875円
間接経費 3,375,000円
合計 25,875,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-07-05
更新日
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