我が国への侵入が危惧される蚊媒介性ウイルス感染症に対する総合的対策の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201123044A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国への侵入が危惧される蚊媒介性ウイルス感染症に対する総合的対策の確立に関する研究
課題番号
H23-新興・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 小西英二(大阪大学微生物病研究所)
  • 森田公一(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 高橋和郎(大阪府公衆衛生研究所)
  • 高橋秀宗(国立感染症研究所感染病理部)
  • 沢辺京子(国立感染症研究所昆虫医科学部)
  • 濱田篤郎(東京医科大学病院渡航者医療センター)
  • 鈴木隆二((独)相模原病院臨床研究センター)
  • 江下優樹(大分大学医学部・感染分子病態制御講座)
  • 梅 敏苓 (モイ メンリン)(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 倉根一郎(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
25,778,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
デングウイルス(DV)、チクングニアウイルス(CHIKV)は、ネッタイシマカやヒトスジシマカ(Aeal)などを媒介蚊としてヒトに感染し、デング熱(DF)、デング出血熱(DHF)やチクングニア熱(CHIKF)を惹起する。温暖化と流行地の都市化が要因で流行が拡大しているこれらの感染症の我が国への侵入に備える。
研究方法
統合プライマーを合成しRT-LAMP法と全自動遺伝子解析装置による迅速遺伝子診断法を開発し、Fc+BHK細胞を用い抗体依存性感染増強(ADE)現象を応用し、高感度ウイルス分離法を開発した。ワクチン開発はCHIKV構成物を作製し細胞に遺伝子を導入、DNAワクチンを試作した。キメラDV様中空粒子(DVLP)を作成し、各種フラビウイルス抗体との反応性を検討した。DV霊長類モデルとして有用なマーモセット(Mamo)のMHCなど免疫学的背景を解析し、MamoにCHIKVを感染させ、ウイルス遺伝子を測定した。日本産AealにDVを経口摂取させ、DV遺伝子数を測定した。RNA安定化tubeにCHIKV RNAを保存し、経時的に遺伝子数を測定した。一般向けにインターネット調査、特定集団に海外でかかる病気への関心や蚊媒介性感染症についてアンケートを実施、海外渡航者に情報提供法としてe-leaning形式Webサイトを構築した。
結果と考察
DV RT-LAMP法は現場即時検査の面から、遺伝子抽出から判定まで行う全自動遺伝子解析法の確立は、国内流行拡大時に有用である。ウイルス分離は、Fc+BHK細胞を用い高感度DV分離法を開発した。ワクチン開発は、CHIKV DNAワクチンを試作、今後評価する。また、DVLPは十分な抗原性を有し、検査用抗原としても使用できる。霊長類モデルの開発では、Mamoは旧世界ザルより高いウイルス血症を示し、CHIKV感染モデルとしても有用で、同定した免疫遺伝子は病態解析の鍵となる。国内産AealでDV感染蚊を作りウイルス増殖を確認した。RNA遺伝子の常温保存・輸送法として、RNA安定化tubeは室温保存8ヶ月安定であり、検査体制構築に使用できる。e-leaning形式Webサイトは、楽しみながらDFを理解できる。
結論
現場対応型迅速遺伝子検査法を開発し、ADE応用高感度DV分離法を開発した。DVに感受性の高いMamoの免疫関連60遺伝子を同定し、CHIKVへの感受性を確認した。国内AealはDVに対する感受性がある。CHIKV DNAワクチンの構成物を構築し抗原発現を確認、DVLPの発現系を作製した。DF理解のためe-leaning形式Webサイトを構築した。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123044Z