感染症の予防、診断・治療又は医療水準の向上のための臨床的研究

文献情報

文献番号
201123038A
報告書区分
総括
研究課題名
感染症の予防、診断・治療又は医療水準の向上のための臨床的研究
課題番号
H23-新興・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
影山 努(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中内美名(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター)
  • 高山郁代(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター)
  • 松井清彦(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター)
  • 大場邦弘(公立昭和病院小児科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
17,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 2009年にブタインフルエンザに由来する新型インフルエンザが出現した際、リアルタイムRT-PCR法による遺伝子検査系が検疫所・地方衛生研究所へ導入された。しかし、病院や診療所等の臨床現場では、リアルタイムRT-PCR法は検査手技が煩雑であり特殊機器も必要であるために限られた施設でしか検査ができなかった。一方で、従来のRT-LAMP法を一部改良したDirect RT-LAMP法により、検体からの核酸精製を必要とせず約45分でH1pdmおよびA型インフルエンザウイルスの遺伝子診断を簡便に行う方法を栄研化学株式会社と共同開発した。しかし、この方法もマイクロピペッター操作が必要であり、コンタミネーションのリスクが高いため、遺伝子検査に熟練しないと正しく結果が得られない可能性があった。また、迅速診断キットは遺伝子検査法に比べると検出感度が低くA、B型以外に亜型を区別する事ができない。そこで本研究では、煩雑な操作なしで同時に亜型同定が可能なインフルエンザの遺伝子検査システムの開発を目的とした。
研究方法
 Direct RT-LAMP法とマイクロ流路チップおよび検出器(ソニー株式会社)を組み合わせた季節性インフルエンザウイルスの型・亜型同定キットの開発を行い、ウイルスおよび臨床検体を用いて検出系の感度や特異性の評価および本システムの有用性に関する臨床的評価を行った。
結果と考察
 本システムは、リアルタイムRT-PCR法に匹敵する検出感度および特異性を持ち、迅速診断キット並の操作で35分以内に型・亜型を同定する事が可能であった。本システムにより臨床現場でも煩雑な操作なしに高感度な遺伝子検査を行う事が可能になると考えられた。
結論
 本システムはインフルエンザのみならず他の呼吸器感染症を含むあらゆる遺伝子診断を高感度、特異的、迅速かつ簡便にベットサイドで行う事が可能な技術であり、感染症の予防、診断・治療といったわが国の感染症対策に大きく貢献する事が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123038Z