ワンヘルス理念に基づく動物由来感染症制御に関する研究

文献情報

文献番号
201123025A
報告書区分
総括
研究課題名
ワンヘルス理念に基づく動物由来感染症制御に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 壽男(岡山県環境保健センター)
  • 菅沼 明彦(都立駒込病院 感染症科)
  • 今岡 浩一(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 井上 智(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 川端 寛樹(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 山本 明彦(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 柳井 徳磨(岐阜大学 農学部)
  • 森嶋 康之(国立感染症研究所 寄生動物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
38,720,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では「One Health」理念を念頭に置きつつ、分野横断的なアプローチにより、動物由来感染症の制御に深く関連する、診断、予防、治療、病原性発現機構について研究を深めることを目的とした。
研究方法
コクシエラ、野兎病、コリネバクテリウムウルセランス、ボレリアの国内での存在様式のサーベイランスを病原体検出、抗体検出にて明らかにするとともに、猟犬をセンチネルとする調査方法を確立する。また、ブルセラ、狂犬病エキノコックスの診断、治療、予防法について検討を加える。
結果と考察
食用ウシ125頭、ネコ1762頭、マダニ622個体からrealtime PCRでQ熱コクシエラの遺伝子検出を試みたが全て陰性だった。ライム病ボレリアの遺伝子データベース構築作業を継続した。野生イノシシからイヌブルセラ菌に対する抗体が検出され、遺伝子が検出される個体も見出された。コリネバクテリウムウルセランスの新たな感染者の環境調査で、ネコ、イヌ、ヤギの関与が示された。野兎病菌に対する競合ELISAを確立し、多種の野生動物の血清疫学に有用であることを示した。嶼部および半島部の猟犬計196頭人獣共通感染症病原体への曝露状況調査を実施したところ、島ごとに感染状況が異なっており感染症のリスク評価に個別調査が必要であると考えられた。エキノコックスの各発育ステージに特異的に発現する遺伝子群を網羅的に同定するため、マイクロアレイでの解析に至適化したin vitroの人工培養系を開発した。土壌中の炭疽菌近縁菌種で構成されるBacillus cereus group 菌種群を効率良く分離培養を行う方法を確立した。狂犬病ウイルスPおよび Nに特異的scFvにビオチンを融合させた蛋白の発現系の確立を継続中である。ワクチン外来への来院者数調査から狂犬病に対する意識変化を追うことができることを明らかにした。
結論
国内での存在は明らかにされているがその存在様式が不明な動物由来感染症の実態を明らかにするには今後も地道な調査研究を継続する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123025Z