動脈ラベル標識法(ASL)を用いた精神疾患の脳画像解析法の確立

文献情報

文献番号
201122121A
報告書区分
総括
研究課題名
動脈ラベル標識法(ASL)を用いた精神疾患の脳画像解析法の確立
課題番号
H23-精神・若手-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
太田 深秀(国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Positron emission tomography (PET)、single photon emission computed tomography (SPECT)などを用いた脳血流測定検査はこれまでに神経変性疾患など器質的障害に対して既に診断的有用性が確かめられており臨床応用されている。統合失調症などの精神疾患においても、これらの検査は既に施行されているが必ずしも結果が一致せず、診断やバイオマーカーとして臨床応用するにはさらに洗練された方法による解析が必要であると考えられる。近年、3テスラmagnetic resonance imaging (MRI)などの画像技術の進歩に伴い、次世代の画期的な局所脳血流測定法として、ASLが注目されている。そこで本
研究ではarterial spin labeling (ASL)による局所脳血流測定法の精神疾患における有用性を検討することを目的とする。平成23年度では統合失調症患者、気分障害患者および健常者のデータ収集とASLデータの定量解析方法の確立を行う。
研究方法
Philips社製3TのMRIを用いてpseudo-continuous ASL(pCASL)という撮影方法で統合失調症患者20名、気分障害の患者20名、健常被験者30名の撮影を行った。

(倫理面への配慮)
対象者には検査に関する説明を行い、文書にて同意を得た。
結果と考察
pCASLで撮影した結果、しばしばcontinuous-ASL(CASL)で指摘されるspecific absorption rate (SAR)による異常発熱の問題もみられなかった。またmedian filteringを導入することで信号/ノイズ比(SNR)が十分に高い画像を得ることが可能であった。今回のpCASLの定量解析において従来
の定量式に灰白質におけるtransversal Relaxation rateの減衰補正を追加したところ、PET、SPECTを用いた先行研究で示された大脳平均血流量とほぼ同程度の平均血流量得ることが可能となった。

ASLは解像度が決して高くなく、ノイズの流入により平均値の異常上昇がみられていた。しかしmedian filterによる処置にて良好なデータを得ることが可能となった。
結論
pCASLを用いる事で安全にSNR比の高い画像の収集が可能となった。
今後は精神疾患患者のデータ収集を行い疾患群間における差異の検証を行なう。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-01-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122121Z