文献情報
文献番号
201122117A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患患者に対する早期介入とその普及啓発に関する研究
課題番号
H23-精神・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
水野 雅文(東邦大学 医学部 精神神経医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 道雄(富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座・精神医学)
- 下寺 信次(高知大学医学部神経精神科学教室・精神医学)
- 松岡 洋夫(東北大学大学院医学系研究科(医科学専攻神経・感覚器病態学講座精神神経学分野))
- 小澤 寛樹(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・精神神経科学)
- 岸本 年史(奈良県立医科大学精神医学講座)
- 岩田 仲生(藤田保健衛生大学医学部精神神経科学講座)
- 長谷川友紀(東邦大学医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究ではDUPの把握された唯一のコホートであるH20-22年度水野班の成果を継承し、初回エピソード統合失調症(First Episode Schizophrenia、以下FES)コホートの長期予後追跡を行うことで、治療ガイドラインを含めた施策立案の基礎的客観資料の形成を行う。一方、実臨床において多数遭遇する、未発症ながら精神病発症危険状態(At-risk mental state (以下ARMS))にあり援助希求行動を呈して受診した者に対する診断、治療は十分に検討さえされておらず、エビデンスに基づく合理的な早期介入方法の確立には至っていない。
精神疾患患者に対する早期介入の有効性を検証し、その有用性・重要性の普及啓発をはかるために、早期精神病(Early Psychosis)とも呼ばれる2領域、①FES、②ARMSを検討対象とする。
精神疾患患者に対する早期介入の有効性を検証し、その有用性・重要性の普及啓発をはかるために、早期精神病(Early Psychosis)とも呼ばれる2領域、①FES、②ARMSを検討対象とする。
研究方法
対象者は上記参加施設を受診した初回エピソード統合失調症(FES)症例と発症危険状態(ARMS)症例である。初回受診時年齢、受診動機、受診を援助した家族の有無、初診時の付添者の有無、他院精神科受診歴、発症形式(突発性、急性、潜行性)、診断(ICDコード)、精神症状(SOPS, CAARMS)、陰性症状(SOPS)、CGI、GAF、自殺未遂の既往、受診経路、DUP (M)/DUI、処方内容など。またFESではすでに、登録後6ヶ月毎に陽性陰性症状評価尺度、社会機能評価としてSFS尺度、GAF、主観的評価としてWHO-QOL、認知機能評価としてSCoRS(Schizophrenia Cognition Rating Scale)等が評価されながら追跡されている。ARMSについては、ナラティブな記述を心がけ、未だ症例の検討も乏しいわが国におけるARMS症例を浮き彫りにしていく。
結果と考察
本調査に登録をした初発統合失調症患者157名のうち、治療開始から18ヶ月が経過した約61名を分析対象とした。社会機能とQOLは、ほぼすべての評価時点において、DUPが短いほど状態が良好であった。初回エピソードの統合失調症の早期発見・早期介入をすることにより、社会機能の低下を防止し、QOLの将来的な改善が期待される。ARMS症例を蓄積し、ナラティブな記述も含めた臨床像の抽出、受診経路、介入・支援指針、転帰予測、海外研究成果の紹介などを検討し、近い将来の臨床ガイドライン作成のための準備を行っている。
結論
FES症例の継続フォローアップ、ARMS症例の蓄積を継続していく。また評価者間一致の向上のためのビデオ作製などを実現していく。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
-