NIRSを用いた精神疾患の早期診断についての実用化研究

文献情報

文献番号
201122110A
報告書区分
総括
研究課題名
NIRSを用いた精神疾患の早期診断についての実用化研究
課題番号
H23-精神・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
福田 正人(国立大学 群馬大学 大学院医学系研究科 神経精神医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 住吉 太幹(富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学)
  • 滝沢 龍(東京大学大学院医学系研究科精神医学)
  • 檀 一平太(自治医科大学医学部先端医療技術開発センター脳科学)
  • 根本 清貴(筑波大学大学院人間科学研究科精神病態医学)
  • 川久保 友紀(東京大学医学部附属病院)
  • 橋本 謙二(千葉大学社会精神保健教育研究センター神経科学)
  • 鈴木 道雄(富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学)
  • 野田 隆政(独立行政法人国立精神・神経医療センター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
NIRS検査は2009年4月に「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」として、精神医療分野として初めての先進医療の承認を受けた。うつ状態の鑑別診断のための補助検査として有用性が認められたもので、大うつ病性障害・双極性障害・統合失調症の臨床的な診断について、確認したり、見逃しに気付いたり、患者への説明の際に、補助として利用することができる。2012年3月末現在で14施設で実施されている。
この先進医療を診療場面における臨床検査として一層の実用化を進めるためにNIRS研究を発展させるとともに、そうしたNIRSデータの背景を脳構造(MRI研究)・神経生理(ERP研究)・認知機能(神経心理研究)から明らかにすることを本研究の目的とした。
研究方法
DSM-IV-TRの診断基準に合致する統合失調症・気分障害・ADHDの患者を対象として、NIRS検査を横断的および縦断的に実施し、健常対照者と比較した。
結果と考察
①頭皮上の数点の位置測定にもとづいて、MRI画像なしにNIRS計測位置を5分程度で標準脳に対応づけられる方法を開発し実用化した、②統合失調症のNIRSデータについて、臨床病期の進行に伴い脳部位に応じた変化を認め、前頭葉背外側における減衰が低い発症年齢と関連することを明らかにした、③定型発達児の就学前からの発達過程に伴うNIRSデータの変化を明らかにし、小児ADHD患者においてmethylphenidateへの反応予測に有用である可能性を指摘した、④気分障害18名、統合失調症初発23名、ARMS 37名について縦断計測を開始し、病初期のNIRSデータが数か月後の症状・機能の改善度と関連することが明らかとなってきている。
結論
上記の結果をもとに、書籍『NIRS波形の臨床判読-先進医療「うつ症状の光トポグラフィー検査」ガイドブック』を刊行しNIRSの検査・解析・判定について標準化と均霑化の基盤を整備するとともに、国立精神・神経医療研究センター病院が開催した「NCNP光トポグラフィー講習会」と「NCNP光トポグラフィー判読セミナー」で講師などを担当し、NIRS検査の普及とその質を保証するシステム構築の第一歩とできた。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122110Z