文献情報
文献番号
201122093A
報告書区分
総括
研究課題名
エピジェネティクス解析に基づいた網膜硝子体疾患に対する病態解明と発症予防および治療法の開発
課題番号
H23-感覚・若手-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
三村 達哉(東京女子医科大学東医療センター 眼科学教室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,590,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、眼内組織の老化のメカニズムを明らかにするために、近年DNAの塩基配列に変化なしに遺伝的しかも可逆的に遺伝子機能に変化を及ぼすことが明らかになったエピジェネティクスの観点から、網膜硝子体疾患とエピジェネティクス異常の関係を調べることを目的とする。特定部位のエピジェンティクス変化(メチレイション)を抑制することにより、疾患の予防および、治療をすることを最終目標とする。
研究方法
研究の対象は糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢性黄斑変性症に伴う黄斑浮腫などに対し手術を施行した患者である。硝子体手術を必要とする患者に同意を得たのち、前房水、硝子体液、血液、内境界膜を採取する。硝子体手術を必要とした黄斑円孔および黄斑上膜の症例をコントロールとする。
(平成23年-24年度)研究開始2年間は患者のエントリーならびに術前術後の網膜視機能の評価、サンプルの採取を行う。
(平成24-25年度)サンプルの採取およびサイトカイン濃度の測定
①前房水、硝子体・血液中サイトカイン濃度、黄斑部血流速度の比較、組織学的研究、眼内液サイトカイン濃度およびと黄斑部血流速度との相関解析。測定候補サイトカインはVEGF, VEGF receptor-2 (VEGFR-2), Erythropoietin (EPO), ICAM-1, IL-6, PEDF,Vascular endothelial adhesion molecule-1 (VCAM-1),Monocyte chmoattractant protein-1 (MCP-1), Stromal-derived factor-1 (SDF-1)。
②エピジェネティクスの解析は次年度に行う。
(平成23年-24年度)研究開始2年間は患者のエントリーならびに術前術後の網膜視機能の評価、サンプルの採取を行う。
(平成24-25年度)サンプルの採取およびサイトカイン濃度の測定
①前房水、硝子体・血液中サイトカイン濃度、黄斑部血流速度の比較、組織学的研究、眼内液サイトカイン濃度およびと黄斑部血流速度との相関解析。測定候補サイトカインはVEGF, VEGF receptor-2 (VEGFR-2), Erythropoietin (EPO), ICAM-1, IL-6, PEDF,Vascular endothelial adhesion molecule-1 (VCAM-1),Monocyte chmoattractant protein-1 (MCP-1), Stromal-derived factor-1 (SDF-1)。
②エピジェネティクスの解析は次年度に行う。
結果と考察
結果:本年度は目的とする網膜硝子体疾患の患者さんにおける硝子体手術に硝子体サンプルを採取し保存した。一部のサンプルにおいてはVEGF濃度、IL-6濃度、VEGF-R2を測定した。現在、更にサンプル採取を継続中である。
考察:本年度は硝子体サンプルを採取し保存することと、サンプル中のサイトカイン濃度を測定することに成功した。サイトカイン濃度と術後の視力や網膜浮腫の重症度は相関することから、治療や硝子体手術術後の予後予測に硝子体サンプル中の液性因子濃度測定が有用であると考えられた。
考察:本年度は硝子体サンプルを採取し保存することと、サンプル中のサイトカイン濃度を測定することに成功した。サイトカイン濃度と術後の視力や網膜浮腫の重症度は相関することから、治療や硝子体手術術後の予後予測に硝子体サンプル中の液性因子濃度測定が有用であると考えられた。
結論
眼内硝子体サンプル中のサイトカイン濃度を測定することにより、術後や治療効果の判定ならびに、今後の予後予測にも有用であると考えられる。次年度は眼内サンプルを更に採取し、エピジェネティクス変化ならびに眼内老化との関わりについて調べる予定である。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
-