薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究

文献情報

文献番号
201122077A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林桜児(国立精神・神経医療研究センター 病院)
  • 成瀬暢也(埼玉県立精神医療センター)
  • 森田展彰(筑波大学大学院人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻)
  • 近藤あゆみ(新潟医療福祉大学社会福祉学部)
  • 今村扶美(国立精神・神経医療研究センター 病院)
  • 嶋根卓也(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機関、司法機関、さらに地域の公的保健機関および民間機関といった性質を異にする施設をフィールドとし、認知行動療法的な内容のワークブックとマニュアルに基づく薬物依存治療プログラムを開発し、その有効性を検証するとともに、プログラムの普及を行う。
研究方法
研究代表者らが開発した、認知行動療法による薬物依存症治療プログラム(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program: SMARPP)、ならびに、SMARPPと同種の治療プログラムを、国立精神・神経医療研究センター病院、埼玉県立精神医療センター、東京都多摩総合精神保健福祉センター、東京都中部総合精神保健福祉センター、さらには刑事施設である播磨社会復帰促進センターや美祢社会復帰促進センター、栃木・千葉・館山・横浜の各ダルクなどの、性質の異なる援助機関で実施し、介入前後の評価尺度の変化、治療継続状況、感想に関する自由記述などの情報を収集し、評価を行った。
結果と考察
国立精神・神経医療研究センター病院、埼玉県立精神医療センター、多摩総合精神保健福祉センター、播磨社会復帰促進センターでは、本プログラムによる介入の結果、薬物・アルコール問題に関する問題意識や治療動機、自己効力感、精神的健康などに関する評価尺度上の好ましい変化、あるいは、高い治療継続率や自助グループ参加率、高い断薬率が得られた。東京都中部総合精神保健福祉センター、栃木・千葉・館山・横浜では、対象者数が不十分であり、評価尺度上の変化などを明らかにすることはできなかったが、生活習慣の改善が認められたり、参加者・実施スタッフからも好ましい評価を得ることができた。また、各地への普及・均てん化の研修実施の結果、本プログラムを実施もしくは実施のための具体的な準備に着手しているのは、2012年2月1日現在、全国28箇所の精神科医療機関、7箇所の保健・行政機関、7箇所の民間機関に広がっている。
結論
今年度の研究より、ワークブックとマニュアルに基づいた薬物依存症に対する認知行動療法プログラムは、薬物依存者の治療、再乱用防止に有効な支援ツールであることが示唆された。次年度以降、さらにプログラム実施対象者数を増やし、有効性に関してさらなる検証を行うとともに、国内の多数の施設への普及を図っていく必要がある。近い将来における「刑の一部執行猶予」が実施が予想される現在、薬物依存者の地域支援資源の充実は喫緊の問題といえるが、本プログラムは今後きわめて重要な役割を担っていくものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122077Z