文献情報
文献番号
201122076A
報告書区分
総括
研究課題名
うつ病の最適治療ストラテジーを確立するための大規模多施設共同研究
課題番号
H22-精神・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
古川 壽亮(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康増進・行動学分野)
研究分担者(所属機関)
- 米本 直裕(独立法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
- 堀越 勝(独立法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター)
- 明智 龍男(名古屋市立大学医学研究科)
- 渡辺 範雄(名古屋市立大学医学研究科)
- 下寺 信次(高知大学臨床医学部門)
- 尾崎 紀夫(名古屋大学医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
21,847,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、日本人の健康損失の最大原因であるうつ病について、研究代表者および研究分担者たちが今までに明らかにした世界のベストエビデンスを踏まえた上で、それでも明らかにならなかった重要な臨床疑問に対して、生物統計学・疫学の専門家とともに各臨床疑問に適したデザインを組んで十分な統計学的検出力を持った大規模な無作為割り付け比較試験(RCT)とコホート研究と横断研究を、先行研究に裏打ちされた実践力のある研究者が行い、もって今後日本の精神医学で大規模臨床研究を行う際のひな形となる体制づくりを目指す研究である。
研究方法
具体的には(1)現在うつ病に対して最も有効とされる治療をどのように組み合わせれば最適な治療戦略となるかの新しいエビデンスを大規模RCTによって創出し、(2)うつ病の発症を予測し予防する生物心理社会因子を大規模コホート研究によって解明し、(3)現時点でエビデンスが現実の臨床に反映されているかの横断研究からやがて(1)や(2)の研究で得られたエビデンスを国民に広く均霑化する基盤を得る。
結果と考察
(1)メガトライアルにおいては、2010年12月からパイロット研究を開始し、2012年12月末現在で4677人をスクリーニングし、207例をエントリーし、2012年度中にパイロット研究を成功裏に終了できる予定である。(2)コホート研究においては、妊娠関連うつ病にパラダイムをとり、2011年11月末までにエントリー数742名、産褥1ヶ月までの質問紙が回収できた数616名、児出生1年半までのフォロー数43例の協力が得、妊娠関連うつ病の亜型分類、およびEPDSの因子構造の解析を行った。(3) 診断のための横断研究では一般病院内科外来を調査期間中に受診した全598名の患者を層別サンプリングして自記式スクリーニング調査票PHQ9と半構造化面接MINIを施行し、大うつ病および小うつ病の有病率とPHQ9の診断特性を明らかにした。
結論
以上により、日本の多施設で、診断研究、予後研究そして介入研究と、大規模な実践的な臨床研究を行うノウハウとネットワークが作られた。日本で世界のガイドラインを書き換えるポテンシャルのある適切なデザインによる臨床研究を実施することが可能である。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
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