文献情報
文献番号
201122070A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患の病態診断と治療評価のためのイメージングバイオマーカーの開発と臨床応用
課題番号
H22-精神・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 善朗(日本医科大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 須原 哲也(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
- 松浦 雅人(東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
- 加藤 元一郎(慶應義塾大学 医学部)
- 伊藤 浩(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
- 舘野 周(日本医科大学)
- 一宮 哲哉(日本医科大学)
- 上田 諭(日本医科大学)
- 肥田 道彦(日本医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
20,174,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
統合失調症および気分障害を主たる対象として、分子イメージングの技術を用いて、1)病態診断のためのバイオマーカーの開発と臨床的検証、2)治療評価のためのバイオマーカーの開発と臨床的検証を行い、3)イメージングバイオマーカーを用いた病態評価に基づく科学的診断法と新しい治療戦略を開発提案することを目指した。
研究方法
1)ドパミンD2受容体部分アゴニスト抗精神病薬(アリピプラゾール)によるドパミンD2受容体占有率の脳内局所差に関する研究、2)線条体機能的下位領域と線条体外領域のドパミンD1受容体結合能に関する研究、3)ドパミン作動性神経系前シナプス機能であるドパミントランスポーター結合能およびドパミン生成能の定量測定の再現性の評価研究、4) [18F]florbetapirによるアミロイド分子イメージングの開発研究、5)脳機能画像所見と遺伝子多型との関連研究、6)MEGを用いた統合失調症群におけるミラーニューロンシステム応答の異常に関する研究を行った。
結果と考察
1)抗精神病薬アリピプラゾールによる大脳皮質優先的結合は認められないことを明らかにした。2)ドパミンD1神経は連合線条体および運動感覚線条体では、大脳皮質の広範な領域との相関を認めるのに対して、辺縁線条体では相関を認めないことを明らかにした。3) [18F]FEPE2Iおよび[11C]DOPAによるドパミントランスポーター結合能とドパミン生成速度定数の良好な再現性を確認した。4)アルツハイマー病の診断と[18F]florbetapirを用いたアミロイド分子イメージングによるアミロイド陽性が高い割合で一致することを確認し、アルツハイマー病の早期診断に[18F]florbetapirを用いたアミロイド分子イメージングが活用できることを示した。5)COMT遺伝子やCNTNAP2遺伝子の多型の違いにより、聴覚言語処理課題による海馬傍回の活性化が異なること、BDNF遺伝子多型と自己認知課題による帯状回と尾状核の賦活が関連していることを明らかにした。6)統合失調症群では、頭頂葉下部または上側頭溝後部での脳活動が減弱し、特に右頭頂葉領域における高周波同期応答の質的異常が存在することを示した。
結論
以上から、各種の新規リガンドを活用することによって、精神疾患の診断や治療評価に有用な新たなイメージングバイオマーカーの開発が可能になると思われた
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
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