心血管疾患患者の介護予防方策を明らかにするための大規模コホート研究

文献情報

文献番号
201122066A
報告書区分
総括
研究課題名
心血管疾患患者の介護予防方策を明らかにするための大規模コホート研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
柴 信行(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 下川 宏明(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 福本 義弘(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 高橋 潤(東北大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
6,776,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では急速に高齢化が進行し心血管疾患を抱えた高齢者が増加している。なかでもすべての心血管疾患の終末像である心不全は進行性の病気であり、増悪を繰り返しながら全身状態が低下し日常生活の活動度も低下していくものと考えられる。我が国の心血管疾患における介護予防必要度や介護認定の現状に関する知見は皆無であったが、我々は昨年度の調査で心血管疾患患者では一般住民と比較し介護予防の必要度が約4倍高いことを示した。この度我々は介護予防必要度と予後の関連に関する検討、さらに、介護予防必要度や要介護認定度の経年的変化を調査することを目的とし、本年度の研究を進めた。
研究方法
心血管疾患の前向きコホート研究:第二次東北慢性心不全登録研究の登録症例を対象にした。厚生労働省が作成した基本チェックリストに基づいて作成した質問票によって、①運動器の機能、②栄養状態、③口腔機能、④うつ状態、⑤現在の介護認定状況を調査した。また、カルテ調査によって登録患者の予後を調査し、主治医意見書から客観的な介護要求を把握した。
結果と考察
初年度の調査にてアンケート調査にて回答を得た6,718名のうち、本年度に予後調査が可能であった5,831名について検討を行った。平成23年10月末(平均観察期間0.4±0.2年)までに137例(2.3%)が死亡した。介護予防必要群ではどの心血管疾患Stageでも有意に全死亡が多く予後不良であり、多変量解析の結果、介護予防が必要である事は全死亡の独立した予後予測因子であることが示された。昨年度の調査と比較して、新たに介護予防を必要とした症例は運動機能異常をもつ症例が大半であり、運動機能異常に対する介入が必要である事が示された。さらに、運動機能異常を有する症例は、認知機能異常やうつ傾向を示すことが多く、精神面を考慮した介入を要すると考えられた。
結論
介護予防の観点からも心血管疾患における心臓リハビリテーションの重要性が認知されるべきであると考えられる。単に運動機能異常に対する介入のみでは不十分であり、その背景にある恐怖心や認知・うつ傾向など十分に配慮した介入が求められる。そのためには多職種の医療スタッフがチームを組み、患者を支えることができるような体制が必要である。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122066Z