知的障害者の地域生活移行に関する支援についての研究

文献情報

文献番号
201122060A
報告書区分
総括
研究課題名
知的障害者の地域生活移行に関する支援についての研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高木晶子(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局秩父学園)
  • 石渡利奈(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 北村弥生(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,790,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在福祉サービス体系が十分には整備されていないと考えられる2つの群、即ち、重度知的障害者群(重度群)と軽度?境界域知的障害者群(軽度群)について、地域生活移行を支援するための手法、体制開発のための調査を行う
研究方法
重度群については、知的障害児施設入所中の年齢超過者(18歳以上)54名を対象として、地域移行を困難にする因子の分析と検討を目的とした調査を施行した。軽度群については国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局を利用する発達障害成人のうちWAISで55<PIQ<85の者10名を対象に、日常生活上の課題への支援も並行して行い、従来の就労移行支援サービス枠を利用して、発達障害特性に対応した支援プログラムの開発を行った。
結果と考察
22,23年度の地域生活移行群15名、非移行群39名を比較した結果、両群で知的重症度、行動障害の程度に有意差はなく、移行に関する家族の理解と要望、移行先の確保が大きな要因と推定された。また対象を自閉症群29名、非自閉症群25名に分け比較したが、地域移行について有意差はなかった。同群の家族を対象に、きょうだいの課題と自己概念を調査した結果、対象群に比べ自己概念は母親群で有意に低く、きょうだい群と父親群では有意差はなかった。また「入所生の将来を心配している」と回答した同胞が多い一方で、社会資源に関する情報には青年期から不足感を回答した。このことより重度群では母親における子育て役割を支援する必要があり、親亡き後にもきょうだいが安心できるよう、青年期から情報提供を整備する必要があることが示唆された。軽度群は訓練継続中2名を除く修了者8名中5名が一般就労し全員職場定着をしている。また多職種支援者および当事者が多様な支援ニーズ、補完する手段(ツール)について共通分類で情報共有できるよう、ICFに基づいて整理した支援ニーズアセスメントおよび支援ツールマップを開発中で、それぞれ試行版の検証、支援ツールのリスト作成を終了した。
結論
来年度は両者を完成させ、きょうだい支援パンフレットとともに提供予定である。また重度群、軽度群ともに地域生活移行について障害福祉制度下での有効な支援手法と体制を提言したい。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122060Z