高齢の障害者への支援の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201122059A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢の障害者への支援の在り方に関する研究
課題番号
H22-身体・知的・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 上田 敏((公財)日本障害者リハビリテーション協会)
  • 楠 正(日本薬剤疫学会)
  • 吉川 一義(金沢大学 人間社会研究域学校教育系)
  • 磯部 健一(名古屋大学大学院 医学研究科)
  • 丹羽 真一(福島県立医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,090,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢障害者支援のシステムとプログラムを、WHO・ICF(国際生活機能分類)に立った実態調査に基づき明確にすることが本研究の目的である。
本年度は特に東日本大震災が発生したことを踏まえて、災害時の支援のあり方と、そこから明らかとなった平常時の支援のあり方についての課題に重点をおいて進めた。
研究方法
生活機能低下予防・改善を中心とした被災自治体での現地支援活動と個別被災者の生活機能の実態把握とを行いながら、東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町をフィールドとして以下を実施した。
1.震災発生7月後の障害児者の、ICFに基づく生活機能実態調査(N=809名)
2.同7月後の被災地居宅生活高齢者の、ICFに基づく生活機能実態調査(N=2208名)。仮設住宅生活者に比して災害時の支援の対象としての比重が低くなりがちな居宅生活者を対象とした。
3.震災発生後早期(2月後)の生活機能低下の実態(N=141名)
一般避難所に昼間いた非要介護認定者高齢者を対象として「生活不活発病チェックリスト」を用いた保健師の直接面接法。
結果と考察
1)障害者(「谷間の障害」を含む)で震災後に「活動」の低下が認められ、発生後7ヶ月時点でもその改善が認められない人が多く、低下率は障害のない人よりも高く、また高齢障害者は若年障害者よりも高かった。
2)居宅生活者でも、仮設住宅生活者よりも若干低いが新たな生活機能低下(障害)が認められた。
3)発生後早期に新たな生活機能低下(障害)発生が多く認められた。
4)上記1)?3)の生活機能低下の主な原因は生活不活発病であり、その最も多い原因は「外ですること」がなくなったことであった。
結論
1)障害者支援のあり方として、①既に障害のある人への支援だけでなく、新たな障害を生まない“予防”の観点が重要である。②その際の障害とは現行の法制度や谷間の障害だけでなく、ICFの定義による「生活機能低下」の観点が必要である。③これは災害時のみでなく、平常時の障害者支援においても重要な、新たな方向性である。
2)特に、障害者に関する災害時対応においては、従来の「要援護者対策」にとどまらず、①「特別な配慮が必要な人々」としてとらえること、②その際、補完的支援のみでなく、「防げたはずの生活機能低下(preventable disability)」の“予防”が重要である。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122059Z