発話障害者のためのハンズフリー支援機器の開発とその臨床評価

文献情報

文献番号
201122057A
報告書区分
総括
研究課題名
発話障害者のためのハンズフリー支援機器の開発とその臨床評価
課題番号
H22-身体・知的・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
伊福部 達(東京大学 高齢社会総合研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 敏明(東京大学 先端科学技術研究センター)
  • 上田 一貴(東京大学 先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,831,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本課題はこれらの目的に応えるために、①ハンズフリー電気喉頭の改良研究を進めるとともに、②構音障害支援器の開発研究を行うものである。
研究方法
ハンズフリー電気喉頭について、平成22年度には、マイクロホン、アンプ、スピーカが一体化した小型拡声器2種類の試作と使い勝手の評価を行った。平成23年度は、さらに、拡声器使用時の周囲雑音や本体からの雑音を低減し発声音を選択的に取得でき、ハウリングを防止できるようにマイクロホンを改良した。そして、人工喉頭によって発声された音声について4モーラの単語リストを用いて明瞭さの定量的な評価を行った。発話支援音声生成器については、平成22年度に、ほぼすべての音素を不明瞭ながらも表現可能にしたことを踏まえ、平成23年度には、抑揚の制御と、小型化に向けたタッチパネル型PCに対応との2点に取り組んだ。以上について、プロトタイプ機器を他の治療法やリハビリ法を補完するという立場で臨床的な観点から有用性と問題点を評価し、実用化を目指して研究を進めた。
結果と考察
電気喉頭については、評価の実験から、改良型マイクを用いることで増幅音量を従来よりも10dB以上向上でき、聞き取り易さも向上することが分かった。特に、周囲に雑音のある環境下での音量増幅の効果が期待される。一方、音声生成器の抑揚については、2種類の方法を試作し、双方とも使用者が意図する音程の変化を付加できることが分かった。ただし、操作するセンサが増えるため、今後、慣れや使いやすさの個人差については、今後検討していく必要がある。タッチパネルへの対応ついては、表面の指の滑りの良さや、操作盤面の大きさ等を使用者に合わせて調整する必要があること等が確認された。
結論
電気喉頭について、拡声器の改良と評価実験から、実用性が向上することを確認した。電気喉頭の用と以外にも筋疾患や神経疾患等で大きな声を出せない患者が、雑音の中で会話を円滑に行う一手段としても応用できると考えている。音声生成器については、抑揚付加機能の実装とタッチパネル型PCへの対応によって、利便性を向上させた。なお、ここで得られた、押圧センサによる抑揚制御方式は、電気喉頭にも応用でき、試作器を作成中である。また、音声生成機能の一部をiPhone上でも動作できるようにし、実用化への手掛かりとしている。音声生成器自体については、筋・神経系に制御に問題がある発話障害者以外にも、発話失行(失語症)等のリハビリに活かせると考えている。また、健常ユーザを対象に新しい音声楽器としての展開も考えられ、高齢社会におけるQOLの高いリハビリ生活を送る上でも有用であるだろう。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122057Z