中枢神経症状を伴う筋疾患α-ジストログリカノパチーの分子病態と治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201122055A
報告書区分
総括
研究課題名
中枢神経症状を伴う筋疾患α-ジストログリカノパチーの分子病態と治療法開発に関する研究
課題番号
H22-神経・筋・若手-021
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
萬谷 博(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター (東京都健康長寿医療センター研究所) )
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
α-ジストログリカノパチーは先天性筋ジストロフィー症に中枢神経系障害を伴う疾患群である。本疾患群はジストロフィン糖蛋白質複合体構成分子であるα-ジストログリカンのO-マンノース型糖鎖不全を起因とする。本研究では、α-ジストログリカノパチーの原因遺伝子産物およびO-マンノース型糖鎖の機能を解明し、病態解明、診断・治療法への応用を目指している。最近、還元末端のマンノース6位がリン酸化され、リン酸ジエステルを介して糖鎖が付加する可能性が報告された。このリン酸ジエステル結合糖鎖がα-ジストログリカンとラミニンの結合に関与することが示唆されている。そこで、POMGnT1の基質特異性から生合成過程におけるマンノースのリン酸化について検討した。また、POMT1とPOMT2は酵素活性の発現にPOMT1-POMT2複合体の形成が必要である。しかし、各サブユニットの役割や複合体形成のメカニズムはよく分かっていない。そこで、酵母ホモログであるScPmt1で報告されている酵素活性及び複合体形成に必要なアミノ酸について、ヒト酵素における役割を調べた。
研究方法
(1)α-ジストログリカンのアミノ酸配列を基にMan-O-Thrを含むペプチド及びマンノースの6位をリン酸化したペプチド(Man6P-pept)を有機化学的に合成しPOMGnT1の基質となるか調べた。(2)ScPmt1の活性と複合体形成に必要なアミノ酸に相当するヒトPOMT1及びPOMT2のアミノ酸についてAla置換体を作製し影響を調べた。
結果と考察
(1)POMGnT1はMan6P-peptにGlcNAcを転移できなかったことから、マンノースのリン酸化はGlcNAcβ1-2Man形成後であることが示唆された。POMGnT1の機能がマンノース6位のリン酸化に制御される可能性が考えられた。(2)変異型POMT1では酵素活性が減少したが、変異型POMT2では酵素活性への影響が見られなかったことから、POMT1とPOMT2では働きが異なる可能性が示された。
結論
O-マンノース型糖鎖生合成においてマンノース6位のリン酸化は、GlcNAcβ1-2Man形成の後に起こることが示された。POMT1とPOMT2ではサブユニットとしての役割が異なることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122055Z