超細密染色体分析から捉え直すヒト発達障害研究

文献情報

文献番号
201122048A
報告書区分
総括
研究課題名
超細密染色体分析から捉え直すヒト発達障害研究
課題番号
H22-神経・筋・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松本 直通(横浜市立大学 医学研究科 環境分子医科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 伸彦(大阪府立母子保健総合医 療センター 遺伝診療科)
  • 橋本 亮太(大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座精神医学教室)
  • 加藤 光広(山形大学医学部発達生体防御学講座 小児医科学分野)
  • 小坂 仁(神奈川県立こども医療センター 神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
29,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Copy Number Variation (CNV)の発見によりヒト脳神経疾患ゲノム解析は新たな局面を迎えている。ほぼ同一のCNVが精神遅滞症候群やてんかんあるいは自閉症などの発達障害を含む多様なヒトの疾患を惹起していることが明らかになり、これら多様な疾患群の共通項がCNV(のみ)であるという新たな「genotype-first」の時代を迎えた。本研究は、先端技術を用いてこれらの発達期の様々な障害を対象に網羅的な解析を行いCNVの視点からこれらの疾患群を再定義し、CNVを利用した新たな効率的診断法と責任分子単離を行うことを目的とする。
研究方法
各研究分担者および遺伝医学ネットワーク・蔵王セミナー等で形成された小児神経臨床研究ネットワークを中心に、てんかん関連疾患・精神遅滞関連症候群ならび自閉症を広く集積し、Affymetrix社Cytogenetics Array 2.7MやCytoscan HD、Agilent社1M/400Kアレー、NimbleGen社2.1M/700Kアレーを用いてCNV検出を行う。病的CNV異常のない場合は、高密度SNPタイピングによる連鎖解析あるいは次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を行う。
結果と考察
精神遅滞と眼球発生異常ならびに四肢の異常を呈するMicrophthalmia with limb anomaly (MLA)症候群の責任遺伝子を高密度SNPタイピングによる連鎖解析から世界で初めて明らかにした(Am J Hum Genet, 2011)。MLAでは病的CNVを症例に認めず他の解析手段が必須であった。さらに次世代シーケンサーを用いた全遺伝子エクソン領域(エクソーム)解析法の開発研究を並行して進め、解析系の確立に成功し(J Med Genet, 2011)、さらに遺伝子変異解析としての正確性を確認した(Hum Genet, 2011)。本手法を用いてびまん性大脳白質形成不全症の責任遺伝子POLR3AとPOLR3Bの単離に至った(Am J Hum Genet, 2011)。
結論
CNV異常の有無で異なる研究アプローチが発達障害関連遺伝子の単離に有用であった。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122048Z