精神障害者への対応への国際比較に関する研究

文献情報

文献番号
201122040A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者への対応への国際比較に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中根 允文(長崎大学)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎祐士(東京都立松沢病院)
  • 伊藤弘人(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 川口貞親(産業医科大学保健学部)
  • 白石弘巳(東洋大学ライフデザイン学部)
  • 新福尚隆(西南学院大学人間科学部)
  • 鈴木満(岩手医科大学)
  • 鈴木友理子(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 竹島正(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 中根秀之(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 西田淳志(東京都医学研究機構・東京都精神医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,353,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神障害者に対する対応の有り様に関して、国内での現況を世界的な視点で見たとき、妥当であるか優れているか、或いはもし不適切な箇所があるとすれば、その背景は何か、改善するには如何様な施策が考えられるかを具体的に明らかにすると共に、施策担当者に提言する。
研究方法
調査対象を、WHOなどの国際機関が考える精神障害者への対応策を公表された文書から判断すると共に、関係者と直接聞き取りを行って確認して、そこから国際機関の方向性のわが国への導入の可能性を探る。EU諸国や米国・豪州さらにはアジア諸国における状況を同様に調査し、特に非任意入院等強制入院の状況をわが国と比較し、問題点を明らかにする。精神疾患を発病した在外邦人や在日外国人への処遇、および難民の精神健康に係る問題を明らかにし、対応方策を提案する。
結果と考察
まず、WHOが進行中の精神保健関連事業に関する情報を把握して、わが国への導入の可能性を検討し、今年度はmhGAP介入ガイドライン日本語版を完成し、WHODAS2.0日本語版開発に協力した。Atlas2010版から、日本の水準を国際的に評価しようとしたが未了であったため諦めた。世界各国の強制入院状況については、多数国の現況が明らかになり、日本と同様に強制入院(わが国の医療保護入院や措置入院に該当)を見る国があるものの、その削減に向けての取り組みが法整備などを伴いつつ進展している。EU諸国で最高の頻度と見なされたスウェーデンが30%であるが、日本は40%を越えており、保護者制度の有り様と共に改善の余地が少なくないことが明らかとなった。在外邦人および在日外国人の精神障害問題については、単に精神医療問題に止まらず、より包括的対応や連携が必要とされた。
結論
この3年間に、上記諸国からの資料を翻訳、あるいは現地情報に通暁する研究協力者や現地の専門スタッフと会議を持ち、研究対象とする分野について下記項目のような提言をまとめた。なお、平成23年3月に発生した東日本大震災がもたらした被災者支援の中で、精神障害者への対応も新たに提言の話題となった。
1. 国際機関・国際組織に関わる提言
2. 諸外国における強制(非任意)医療調査結果からの提言
3. アジア諸国における精神医療調査からの提言
4. 日本における現状の再検討からの提言
5. 精神疾患を持つ在外邦人および在日外国人への支援に関わる提言

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201122040B
報告書区分
総合
研究課題名
精神障害者への対応への国際比較に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中根 允文(長崎大学)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎祐士(東京都立松沢病院)
  • 伊藤弘人(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 川口貞親(産業医科大学保健学部)
  • 白石弘巳(東洋大学ライフデザイン学部)
  • 新福尚隆(西南学院大学人間科学部)
  • 鈴木満(岩手医科大学)
  • 鈴木友理子(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 竹島正(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
  • 中根秀之(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 西田淳志(東京都医学研究機構・東京都精神医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界的に精神障害者への対応が如何になされているかを比較検証し、その結果を日本における現状と対比させながら、必要な改善方策を探り、その研究成果から改善への提言をまとめることである。調査の対象は、精神保健に関わる国際組織・機関および世界各国の関連機関における情報、更に特定人口集団におけるメンタルヘルス状況と支援の実態の把握にある。
研究方法
国際機関・国際組織などが考える精神障害者への対応策を公開文書から把握し、更に関係者と直接聞き取りを行って確認し、そこから国際的な方向性の日本国内への導入可能性を探る。また、可能な限り多くの国々における目的に関連する現況を具体的且つ厳密に収集し、強制治療の状況や保護者制度の有り様をわが国と比較し問題点を明らかにする。精神疾患を発病した在外邦人や在日外国人への処遇等に係る問題を明らかにし、対応方策を提案する。
結果と考察
WHOによる精神保健関連事業は世界各国の現状を包括的に要約し、各種の比較を可能とするもので、日本の状況の評価にとって極めて有用であるが、残念ながらこの3年間に纏まった情報を確立できなかった。班としては、mhGAP-IG日本語版の完成、WHODAS2.0日本語版開発への協力、WHO研究協力センター機能の再検討を行い、幾つかの提言とした。各国における強制治療は、EU諸国や米国、アジア・豪州などの諸国から多くの現況が明らかになった。幾つかの諸国にも日本と同様の強制入院を見るが、その削減への取り組みが法整備などとともに進展しつつある。強制入院制度に関する最低基準を呈示したEU諸国を参考に、40%を越える非任意入院率という日本の現状は明らかに改善の余地がある。在外邦人・在日外国人の精神障害問題については、より包括的な対応や連携が必要とされた。
結論
この3年間に、上記国際機関及び諸国からの資料を収集し翻訳し、或いは現地情報に通暁した研究協力者や現地スタッフと会議し、研究の対象分野について下記項目別に施策担当者に向けて提言をまとめた。即ち、国際機関・国際組織に関わる提言、諸外国における強制(非任意)医療調査結果からの提言、アジア諸国における精神医療調査からの提言、日本における現状の再検討からの提言、精神疾患を持つ在外邦人・在日外国人への支援に関わる提言であり、更に昨年3月の東日本大震災支援の中で、被災した精神障害者への対応も新たに提言の話題となった。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201122040C

成果

専門的・学術的観点からの成果
精神疾患に罹患した障害者が日本国内で如何なる処遇を受けているか、更には、そうした処遇の有り様は海外諸国での現状と比較して見たとき、先進的であるのか、あるいは改善すべき点が多いのかを、実証的に明らかにできたと考える。従来、幾つかの国における情報は得られていても、今回のように多くの諸国と対比でき、問題の所在を明らかにした比較研究は稀であり、専門領域はもちろん、今後の行政施策分野にとっても有用な情報を提供し得た。
臨床的観点からの成果
国際機関における精神保健分野での作業を通覧し、公表資料の日本語版開発をすると共に、日本が果たすべき役割を検討した。国内の精神障害者に関する疫学知見を概観し、精神科医療、特に精神科における強制入院や非告知治療の現状を明らかにし、諸外国(欧米や豪州と共にアジア諸国)からの詳細な情報源と比較検討した。この結果を基に行政等へのフィードバックを提言として要約した。また、精神障害を発症した在日外国人・在外邦人の支援に関わる研究では、国際移送制度の整備状況と対応の内容が無視できないとした。
ガイドライン等の開発
WHOが開発した「精神保健専門家のいない保健医療の場における精神障害・神経障害・物質使用障害のためのmhGAP介入ガイド」日本語版の開発。および、WHO障害評価表改訂版(WHO/DAS2.0)日本語版開発への関わり。審議会等で現時点での活用はない。
その他行政的観点からの成果
「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」にとって基礎的情報となる有用な数値的データの収集にも努力して、厚生労働省が具体的に施策を立案する上で貢献できるような作業に取り組み、数名の研究分担者が各種委員会にて知見を公表した。
その他のインパクト
研究発表会において、同様の報告を見聞したことが無く、今後定期的にこうした研究を行うことの意義が披瀝された。

発表件数

原著論文(和文)
21件
国内や特定諸国における精神保健医療の状況に関する報告、海外渡航者における精神障害への対応等に関する論文
原著論文(英文等)
8件
日本における精神保健医療の国際比較研究論文等
その他論文(和文)
7件
関連分野における総説論文、および著書等
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
研究分担者からの記載が不一致であるため集計せず(回数不明)
学会発表(国際学会等)
0件
研究分担者からの記載が不一致であるため集計せず(回数不明)
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
2017-05-23

収支報告書

文献番号
201122040Z