文献情報
文献番号
201122037A
報告書区分
総括
研究課題名
強度行動障害の評価尺度と支援手法に関する研究
課題番号
H21-障害・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
井上 雅彦(鳥取大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 大塚 晃(上智大学 )
- 安達 潤(北海道教育大学旭川校)
- 辻井 正次(中京大学 社会学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,134,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では強度行動障害について、これまでの国内外での行動障害への評価と施策の検証を行い、評価方法の開発および行動障害への効果的な介入技法の検討を行うことを目的とする。最終年度となる本年度の研究では強度行動障害について、主として強度行動障害に対する評価の総括と、その有効な支援について地域移行に関する支援システムとコンサルテーションシステム、そして支援者養成システムについて実証的な調査及び研究を行うことを目的とする。
研究方法
評価研究については昨年度からの総括として、強度行動障害を示す人たちが地域で安心して暮らすのに必要な福祉サービスの形態や量、支援プログラムの検討を検討した。また強度行動障害の状態像の分析と評価方法を検討するため、知的障害を伴わない対象を含めたVineland適応行動尺度との相関、ABC-Jによる評価とその分析、支援環境の要因を評価するための支援尺度の検証を中心に行った。支援研究としては、昨年度から継続している早期対応として学齢期の知的障害特別支援学校に対するコンサルテーション研究を推進するとともに、中核入所施設から地域の小規模施設へのコンサルテーションに関する研究を行った。また強度行動障害に関する支援者養成研修についてその効果を検証した。
結果と考察
自閉症成人施設における強度行動障害支援終了者の福祉サービスの利用状況の調査から、強度行動障害は支援事業によって改善したといってもまったく消失したわけではなく、各事業において問題の落ち着いた状態を維持し継続的な発達支援のために、個々の特性に応じた支援や環境の整備などが不可欠であることが示された。
強度行動障害の評価についてはVineland適応行動尺度と新法に中程度の相関が示されたほか、行動障害と支援尺度の検討からは支援の度合いと行動障害の重さの関連が明らかになった。またABC-JのROC分析の結果、旧法の判定(10点以上)、新法の判定(8点以上)のいずれについても、ABC-Jの41点というカットオフ値で最も高い識別力が得られることが示され、整合性の問題が指摘されている旧法、新法をつなぐ共通の基準としてABC-Jを利用できる可能性が示唆された。
強度行動障害の評価についてはVineland適応行動尺度と新法に中程度の相関が示されたほか、行動障害と支援尺度の検討からは支援の度合いと行動障害の重さの関連が明らかになった。またABC-JのROC分析の結果、旧法の判定(10点以上)、新法の判定(8点以上)のいずれについても、ABC-Jの41点というカットオフ値で最も高い識別力が得られることが示され、整合性の問題が指摘されている旧法、新法をつなぐ共通の基準としてABC-Jを利用できる可能性が示唆された。
結論
強度行動障害の支援に関しては、中核センターによるコンサルテーションシステムの有効性が示された。また福岡市の実践からは、地域での強度行動障害のある人についてのサービス提供先を拡大するためには強度行動障害に対する研修プログラムの実施と普及が不可欠であることが示され、このような養成研修を普及が重要であることが指摘された。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
-