統合失調症の再発予防の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201122005A
報告書区分
総括
研究課題名
統合失調症の再発予防の確立に関する研究
課題番号
H21-こころ・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
三辺 義雄(国立大学法人 金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 松原 三郎(医療法人財団 松原愛育会 松原病院)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 小宮山 徳太郎(医療法人 栗山会 飯田病院)
  • 伊豫 雅臣(国立大学法人 千葉大学 大学院 医学研究 院精神医学)
  • 渡邉 博幸(国立大学法人 千葉大学 大学院 医学研究 院精神医学)
  • 関根 吉統(国立大学法人 千葉大学 社会精神保健教育研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療過疎化を踏まえると、効率的な統合失調症再発予防法の確立が切望される。その画期的な方法が欧州で成果をあげている。それは、医師が設定した再発兆候出現時に用いる治療薬を内服してもらうという作業を、ITを用いることで自動化し、医療の効率化を狙った戦略である。その内容は、サーバから患者または家族の持つ携帯電話を通じて再発兆候質問紙へと回答するようメッセージを自動送信する、患者及び家族から送信されてきた回答をサーバが解析する、というものである。再発兆候が出たと判断されると、指示薬の内服を促すメッセージが患者及び家族に送信される。我々はメールの代わりに固定電話を用い、さらに再発兆候時に訪問看護を組み合わせるCIPERSの確立を目指した。
研究方法
CIPERSの有無による1、2群に、通常診療群を加えた3群から成るランダム化比較試験を用いた。対象は統合失調症者である。これらの者をCIPERSの有無による2群、通常診療群による1群、計3群に無作為に分ける。CIPERS有の群は、CIPERSから再発兆候アラートが出た際に備えて、担当医師が予め指示薬(CP換算で2割の抗精神病薬)を3週間分用意し、患者に渡しておく。訪問看護者は毎週一度、電話を用いて、再発兆候質問紙への返答をコンピューターに導入されたCIPERSに入力する。再発兆候アラートが出たら訪問看護者は、指示薬の内服を促すとともに、医師への受診を促す。
結果と考察
CIPERS有の群は、CIPERSから再発兆候アラートが出た際に備えて、担当医師が予め指示薬を3週間分用意し、患者に渡しておく。訪問看護者は毎週一度、電話を用いて、再発兆候質問紙への返答をパソコンに導入されたCIPERSに入力する。再発兆候アラートが出たら訪問看護者は、指示薬の内服を促すとともに、医師への受診を促す。臨床試験が終了し、データ解析を施行中である。脱落者の比率は少なく、重篤な有害事象も報告されていないことから、本法は安全な治療法であることが示唆された。
結論
ITを用いたCIPERSは、コンプライアンスが良く、安全な治療法であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201122005B
報告書区分
総合
研究課題名
統合失調症の再発予防の確立に関する研究
課題番号
H21-こころ・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
三辺 義雄(国立大学法人 金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 松原 三郎(医療法人財団 松原愛育会 松原病院)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 小宮山 徳太郎(医療法人 栗山会 飯田病院)
  • 伊豫 雅臣(国立大学法人 千葉大学 大学院 医学研究 院精神医学)
  • 渡邉 博幸(国立大学法人 千葉大学 大学院 医学研究 院精神医学)
  • 関根 吉統(国立大学法人 千葉大学 社会精神保健教育研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療過疎化を踏まえると、効率的な統合失調症再発予防法の確立が切望される。その画期的な方法が欧州で成果をあげている。それは、医師が設定した再発兆候出現時に用いる治療薬を内服してもらうという作業を、ITを用いることで自動化し、医療の効率化を狙った戦略である。その内容は、サーバから患者または家族の持つ携帯電話を通じて再発兆候質問紙へと回答するようメッセージを自動送信する、患者及び家族から送信されてきた回答をサーバが解析する、というものである。再発兆候が出たと判断されると、指示薬の内服を促すメッセージが患者及び家族に送信される。我々はメールの代わりに固定電話を用い、さらに再発兆候時に訪問看護を組み合わせるCIPERSの確立を目指した。
研究方法
CIPERSの有無による1、2群に、通常診療群を加えた3群から成るランダム化比較試験を用いた。対象は統合失調症者である。これらの者をCIPERSの有無による2群、通常診療群による1群、計3群に無作為に分ける。スクリーニングされた被験者80名、その中で文書による説明・同意が得られたCIPERS有群21名、CIPERS-PC無群21名、通常診療群20名、計62名が臨床試験に参加した。うち、6名を除いた56名が臨床試験を終了した。なお、通常診療群はCIPERS有・無群に対して、治療にケアギバーが関与しないというバイアスを有するため、参考データとし、CIPERS有・無群の2群間で統計解析を行った。
結果と考察
各群の年齢、罹病期間、精神症状の重症度等に有意差は認められなかった。入院発生率に関してCIPERS有群は無群と比較し、有意に減少していた(70%以上減少)。また、1回の入院あたりの在院日数も有意に減少していた(80%以上減少)。参考資料として用いた通常診療群では、CIPERS有群と比較し、入院回数には有意差が出なかったものの、1回の入院あたりの在院日数は85%以上減少していた。再発数には有意な差がなかったが、再発した者(BPRS総得点で20%以上増加した者)のうち、入院に至った例はCIPERS有群では無群と比較し、有意に低下していた。本研究より得られた結果は、CIPERSを用いた早期介入システムを用いることで、入院及び入院治療の長期化を効果的に予防できることを示唆している。
結論
ITを用いたCIPERSを確立したことにより、入院発生率、在院期間を減少させることに成功した。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201122005C

収支報告書

文献番号
201122005Z