生活習慣病対策が医療費・介護保険給付費に及ぼす効果に関する研究

文献情報

文献番号
201120066A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病対策が医療費・介護保険給付費に及ぼす効果に関する研究
課題番号
H23-循環器等(生習)・若手-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
柿崎 真沙子(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,460,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民の健康水準を維持しつつ、社会保障負担を適正なレベルに保つことは、我が国にとって喫緊の課題である。「生活習慣を改善することで、どのくらい医療費は減らせるか?」「中年期の生活習慣病対策は、高齢期の医療費・介護給付費を減らせるか?」「投資効果を考慮した場合、生活習慣病対策の適正な規模はどの程度か?」という3つの疑問に回答することが本研究の目的である。
研究方法
本研究では、宮城県の大崎保健所管内に在住する40歳から79歳の国民健康保険加入者全員約5万人を対象とし、1994年9月から12月にベースライン調査を行い、1995年1月以降の死亡および医療利用状況を追跡している「大崎国保コホート研究」、および宮城県大崎市(大崎国保コホート研究の対象地区であった大崎保健所管内1市13町のうち、1市6町が2006年3月31日に合併)に在住する40歳以上の全住民、約7万7千人を対象とし、死亡情報と要介護認定に関する追跡を行なっている「大崎市民コホート2006」のデータを用いている。大崎国保コホートの有効回答者は52,029人、大崎市民コホート2006の有効回答者は49,603人、両コホートに回答した者は16,982人である。
結果と考察
3年間の研究計画の1年目である本年度においては、特に中年期の生活習慣との関連に注目し、以下3つの成果を得た。
第一に中年期の睡眠時間はその後の体格に影響を及ぼしていること、そして20歳時から中年期にかけての体重変化はその後の循環器疾患死亡リスクに影響することが分かった。これにより、中年期の生活習慣がその後の生活習慣病リスクと関連していることがわかった。
第二に中年期の過体重・肥満・生活不活発・喫煙は10年後の高額医療費発生のリスクを有意に高めることが分かった。これにより中年期の生活習慣を改善することで高齢者医療費を削減する余地が大きいことが示された。
第三に中高年が歩行時間を維持または改善することで要介護認定リスクが低下する可能性が示唆された。
結論
以上の結果は、1)中年期の生活習慣は高齢期の健康レベルと医療費に大きな影響をおよぼすこと、2)中高年が生活習慣を改善することには介護予防効果があることを示唆するものである。今後これらのエビデンスに基づいて中高年の生活習慣の改善に重点をおいた保健医療制度を構築することで、医療費・介護保険給付費の適正化を目指すことが求められる。

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120066Z