慢性期ハイリスク者、脳卒中および心疾患患者に適切な早期受診を促すための地域啓発研究

文献情報

文献番号
201120059A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性期ハイリスク者、脳卒中および心疾患患者に適切な早期受診を促すための地域啓発研究
課題番号
H23-循環器等(生習)・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部)
研究分担者(所属機関)
  • 平出 敦(近畿大学 医学部附属病院救急医学講座)
  • 宮松 直美(滋賀医科大学 医学部臨床看護学講座)
  • 豊田 一則(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳血管内科)
  • 武呂 誠司(日本赤十字社大阪赤十字病院 糖尿病・内分泌内科)
  • 朴 孝憲(宗教法人在日本南プレステビリアンミッション淀川キリスト教病院老人保健施設)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室)
  • 石見 拓(京都大学 環境安全保健機構付属健康科学センター(予防医療学))
  • 岸本 一郎(独立行政法人国立循環器病研究センター 糖尿病・代謝内科)
  • 小久保 喜弘(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 渡邉 至(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 西村 邦宏(独立行政法人国立循環器病研究センター・研究開発基盤センター 予防医学・疫学情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,180,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
循環器疾患の克服には、ハイリスクへの早期介入、循環器疾患の知識の普及による早期受診、救急患者への初期対応が必要である。本研究の目的は、糖尿病患者の適切な受診、脳卒中の早期受診、病院外心停止の患者に対する適切な一次救命処置を進めるための国民啓発の手法を検討することである。
研究方法
研究1:健診でのアンケート調査、大阪府豊能圏域などで(社)糖尿病協会発行の連携手帳の利用、糖尿病患者の病院と診療所の受診の追跡を行ない、糖尿病患者の受診率とアドヒアランスを検証する。
研究2:無作為抽出された広島県呉市の一般市民980名を対象に平成22年7月-平成23年6月AC JAPANが実施した脳卒中に関する市民啓発(脳卒中発作時の症状の理解と早期受診を促す内容)への曝露の有無と頻度、脳卒中発作時症状の理解(主要5症状の完答)の電話調査を行なった。
研究3:総務省消防庁の院外心停止患者に関するデータの解析、ホームページ“集う蘇生の心”へのアクセス数の分析、フォーラムでの意識調査をおこなった。
結果と考察
研究1:大阪府内の自治体と社保の協力を得て特定健診・企業健診の際のアンケート調査の準備、豊能圏域の病診連携の体制作り、「市民健康講座」などの一般住民向け啓発活動をおこなった。
研究2:脳卒中5症状の完答割合は46.6%であり、AC JAPANの脳卒中啓発を見たことがあると回答した者は79.2%であった。啓発への曝露の有無別の完答割合は、曝露あり49.6%、なし38.2%と有意差を認めた。啓発への曝露回数が多いほど完答割合は高かった。映像媒体の啓発効果が示されたため、自治体、企業、教育機関等で利用可能な啓発動画を制作した。
研究3:院外心停止での救急搬送は平成17年102,738人/年が平成21年115,250人まで約3,000人/年増加し、主に80、90歳代が増加しており高齢化との関連が示唆された。ホームページへのアクセス数は、チラシ配布やフォーラムでの周知で増加し、重層的な啓発活動の必要性が示唆された。意識調査では心原性心停止の頻度を年間10万人以上と答えた方は10%、交通事故死が年間5,000人以上と過剰に考えた方が70%以上と多く、さらなる啓発の必要性が示唆された。
結論
糖尿病患者の適切な受診、脳卒中の早期受診、病院外心停止の患者に対する適切な一次救命処置を進めるためには、その対象にあわせた啓発方法が必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120059Z