内臓脂肪蓄積を簡便に推定できる評価モデル式の開発とそのリスク評価に関する縦断研究

文献情報

文献番号
201120056A
報告書区分
総括
研究課題名
内臓脂肪蓄積を簡便に推定できる評価モデル式の開発とそのリスク評価に関する縦断研究
課題番号
H23-循環器等(生習)・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松下 由実(独立行政法人 国立国際医療研究センター 臨床研究支援部)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 徹(日立製作所 日立健康管理センタ )
  • 山本 修一郎(日立製作所 日立健康管理センタ)
  • 溝上 哲也(独立行政法人 国立国際医療研究センター 国際保健医療研究部)
  • 野田 光彦(独立行政法人 国立国際医療研究センター 糖尿病・代謝症候群診療部)
  • 高橋 義彦(独立行政法人 国立国際医療研究センター 糖尿病・代謝症候群診療部)
  • 西 信雄(国立保健・栄養研究所 国際産業連携センター 栄養疫学研究部)
  • 大庭 志野(国立保健医療科学院 生涯保健研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
11,390,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本のメタボリックシンドローム診断基準の内臓脂肪蓄積の簡易指標として、ウエスト周囲径が使われているが、研究代表者らは、CT測定による内臓脂肪面積に比べ、ウエスト周囲径はメタボリックシンドロームのリスク重複を女性では5割、男性では7割しか検出することができず、ウエスト周囲径を簡易指標として用いることには限界があることを明かにした。
しかし、CTによる内臓脂肪面積測定はX線の被曝の問題、さらには高コストの面などの問題点があり、健診現場での汎用性に欠ける面もある。そこで、内臓脂肪の簡易指標として効果的、効率的、経済的でかつ簡便な評価モデル式が必要不可欠であり、その式を作成し、循環器疾患リスクを予測できるかどうかについて追跡調査により明らかにすることを目的として本研究を行った。
研究方法
職域人間ドックでCT を行う2 万人余りの受診者を対象とする。現在、研究代表者らが開発中である内臓脂肪蓄積をより鋭敏に反映する評価モデル式を身体計測値とバイオマーカー、生活習慣要因からさらに検討し、推定能力の高いものに改訂する。さらに、その式が循環器疾患リスクを予測できるかどうかについて10 年間の追跡を行い、妥当性を検討する。エンドポイントは、高血圧、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドローム、心電図異常、心臓足首血管指数(CAVI)、さらに症例数が解析可能な数に達した場合には脳心血管イベントとする。
結果と考察
縦断解析により、内臓脂肪蓄積が多いほど、メタボリックシンドロームのリスクが高まることが明らかになった。また、ウエスト周囲径の変化は、内臓脂肪面積の変化を正確には反映しておらず、内臓脂肪面積の変化も時系列で見ていくことは必要であることが明らかになった。さらに、最適な内臓脂肪面積のカットオフ値は年齢別に異なり、特に40歳未満の人には小さなカットオフ値を用いた方が良いことが明らかになった。
結論
現状の肥満の簡易指標であるウエスト周囲径の変化は内臓脂肪の変化を正確にとらえることは難しく、現在、研究代表者が作成している新しい内臓脂肪の簡易式が必要であることが明らかになった。今後、さらに縦断的な解析を行い、新たな内臓脂肪蓄積の簡易指標を作成していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120056Z