中核都市型医療圏における急性心筋梗塞診療救急体制の実態調査:宮城心筋梗塞対策協議会ネットワークの活用

文献情報

文献番号
201120049A
報告書区分
総括
研究課題名
中核都市型医療圏における急性心筋梗塞診療救急体制の実態調査:宮城心筋梗塞対策協議会ネットワークの活用
課題番号
H22-心筋・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
安田 聡(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター)
  • 伊藤 健太(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 武田 守彦(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 高橋 潤(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 伊藤 愛剛(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 西村 邦宏(国立循環器病研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,696,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
宮城県心筋梗塞対策協議会データベースを活用して急性心筋梗塞症の診療・救急体制に関する実態調査を行い問題点を明らかにすることを目的とする。
研究方法
1979年から2009年までに登録された心筋梗塞総計22,551症例について検討した。更に心筋梗塞の最重症型である院外心停止例についても宮城県ウツタイン登録データを追加解析した。
結果と考察
入院30日以内の院内死亡率は、1997-2008 冠動脈インターベンション(PCI)が施行された場合( 5.1%)、施行されなかった場合(17.3%)の約1/3と極めて低率であった。1979-1996 PCI導入前の時代の死亡率は14%であった。入院までに要した時間と死亡率との関係では、2-6時間で来院した症例が最も死亡率が低く、6-24時間、24時間以降と時間経過ともに死亡率は上昇した。「PCI未施行に関係する因子」について多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ、女性、高齢、救急車を使用しなかったこと、入院までに要する時間が重要であると考えられた。男女の比較においては、来院後のdoor-to-balloon時間は同等であったものの、発症から来院までの時間に約40分の差異が認められた。仙台市内(都市部)と仙台市外(郡部)では市内男性に比し郡部女性では発症から来院までに約60分もの時間的遅延が認められた。
2005〜2008年の4年間に登録された8,650名の院外心停止症例のうち5,066名の心原性院外心停止症例を、都市部と郡部の2群間で比較検討した。覚知から現場到着までの時間、患者接触までの時間、心肺蘇生(CPR)開始までの時間、病院到着までの時間に差異は認められなかった。バイスタンダーCPRの施行率、初期リズムが心室細動であった頻度共に同等であったものの、1ヶ月生存率は都市部に比し郡部で有意に高率であった。
結論
男性に比し女性では発症から来院までの時間が長いこと、特に市外(郡部)女性が最も来院までの時間が長いこと、さらに多くの症例が発症から来院までの時点ですでに120分を超えてしまっていることが心筋梗塞診療の課題であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120049Z