睡眠呼吸障害による生活習慣病に関する医療情報提供とその効果の評価

文献情報

文献番号
201120023A
報告書区分
総括
研究課題名
睡眠呼吸障害による生活習慣病に関する医療情報提供とその効果の評価
課題番号
H22-循環器等(生習)・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
谷川 武(国立大学法人 愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 北村明彦(大阪がん循環器病予防センター )
  • 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学医学部・内科学第二講座)
  • 磯 博康(大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学)
  • 中野 博(国立病院機構福岡病院・呼吸器内科学)
  • 斉藤 功(愛媛大学大学院 医学系研究科 公衆衛生・健康医学分)
  • 古川慎哉(愛媛大学医学部附属病院第三内科)
  • 櫻井 進(愛媛大学大学院 医学系研究科 公衆衛生・健康医学分)
  • 岡 靖哲(愛媛大学大学院医学系研究科睡眠医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定健診・特定保健指導の開始に伴い、生活習慣病削減目標達成にはハイリスク者に対する新たな医療情報の提供、効果的な保健指導システムの構築と改良が重要である。負荷後2時間血糖値が高い糖尿病予備群や、保健指導で改善しない治療抵抗性の糖尿病・高血圧患者の要因として睡眠呼吸障害の関与が明らかになっている。本研究では、地域や臨床における睡眠呼吸障害の対策、新たな医療情報の提供が生活習慣病予防に与える効果を検討し、効果的な情報提供の在り方を提言することを目的とする。
研究方法
地域住民を対象に、平成13~15年度にはスクリーニングを実施した6,500人の睡眠呼吸障害と循環器疾患との関連を検討し、平成14~19年に要医療機関受診と判定された169名の、検査後の治療や生活習慣のアンケート調査、467人のスクリーニング後の専門医療機関受診動向を調査した。糖尿病患者513人にスクリーニングを実施し、睡眠呼吸障害の有病率や合併症との関連を検討した。成人男性275人の簡易睡眠ポリグラフ検査結果より、糖尿病指標との関連を検討した。さらに、1218人の検査結果といびきの強度、血圧との関連を解析した。また、持続陽圧呼吸(CPAP)を開始した患者24名のアドヒアランスの予測因子を検討した。
結果と考察
1.スクリーニング検査が「役立った」「とても役立った」と回答した者は、重症睡眠呼吸障害者の57.2%であった。34人中31人に治療を要する睡眠呼吸障害が存在した。 CPAPアドヒアランスの不良は、装着時の一回換気量の変動係数が大きく呼吸が不規則であることと関連していた。
2.睡眠中の気管音の等価音圧レベルが、日中の高血圧と有意に関連し(p<0.01)、ベースラインでいびきのあった者は、高血圧発症リスクが男女ともに1.4倍高かった。
3.成人男性275名の簡易睡眠ポリグラフ検査の結果、糖尿病患者において呼吸障害指数が空腹時血糖と関連していたが、非糖尿患者においては年齢とBMIが関連していた。
結論
現在の厚生労働行政における重要な生活習慣病対策について、睡眠呼吸障害と生活習慣病の関連および睡眠呼吸障害スクリーニング後の治療に関し有益な成果が得られた。睡眠呼吸障害は生活習慣病と関連があり、健診によって重症者をスクリーニングすることも可能である。住民、保健医療従事者のそれぞれへの情報提供と睡眠呼吸障害患者の受診率の向上が必要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-10-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120023Z