わが国の生活習慣病における一次予防のための運動基準策定を目的とした大規模介入研究

文献情報

文献番号
201120009A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の生活習慣病における一次予防のための運動基準策定を目的とした大規模介入研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 福本 義弘(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 代田 浩之(順天堂大学 大学院医学系研究科)
  • 北風 政史(国立循環器病研究センター 臨床研究部)
  • 門上 俊明(済生会二日市病院 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年我が国では、食生活の欧米化や運動不足に伴い、メタボリックシンドロームを始めとする生活習慣病の頻度が増加の一途をたどっている。生活習慣病は、虚血性心臓病や高血圧性心臓病の発生を通して慢性心不全に至る重要な危険因子であり、早期からの介入の重要性が指摘されている(図1)。本研究では、この大規模コホート集団を用いて、日本人の生活習慣病における一次予防に必要な運動基準策定を目指した大規模介入研究を行う。
研究方法
我々は、過去3年間の厚生労働省科研費研究(平成18〜20年度)により、大規模かつ詳細な生活習慣病患者データベース(1万人登録)を確立している。対象患者:参加施設およびその関連施設において既に生活習慣病の登録観察研究を行っている20歳以上の患者。文書による同意の得られる患者はすべて登録対象とする。目標症例数は10,000例で既に10,000例の登録が終了している。
結果と考察
今回、新規発症心血管イベントに関する解析を行った。まず、研究期間中の身体活動量の変化だが、日常診療において、各主治医から身体活動量の増加に関する指導が入っているにもかかわらず、経年的に低下していることが明らかとなった。
 次に、本研究に登録した対象患者を身体活動量の変化により4群に分類し、3年間の急性心不全入院および新規心血管病入院(急性心不全・急性心筋梗塞以外の治療目的)を検討したところ、男女とも、低→低群で、急性心不全の新たな発症が最も多く、高→高群で最も少ないことが明らかとなった。また、急性心不全以外の治療目的(冠動脈インターベンションなど)の発症も、低→低群で最も多く、高→高群で最も少ないことが明らかとなった。
結論
今回の解析から、低い身体活動量が急性心不全やその他の心血管病の新規発症に関与していることが明らかとなった。引き続き、本研究を継続し、長期の観察を行って行くが、本研究で得られた患者登録データに基づいて、日本人の生活習慣病における一次予防のための運動基準に関する策定を目指した基礎的データが得られれば、早期より効果的に生活習慣病を予防することが可能になり、臨床応用できる極めて有用なエビデンスが得られることが期待される。今回、全症例で各主治医から運動量増加の指導が入ったにもかかわらず、高齢化に伴い経年的に身体活動量が低下していったことをふまえ、運動を阻害する因子が何か、明らかにしていく必要があると考える。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

文献情報

文献番号
201120009B
報告書区分
総合
研究課題名
わが国の生活習慣病における一次予防のための運動基準策定を目的とした大規模介入研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 福本 義弘(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 代田 浩之(順天堂大学 大学院医学研究科)
  • 北風 政史(国立循環器病研究センター 臨床研究部)
  • 三浦 俊郎(山口大学 大学院器官制御医科学)
  • 安藤 真一(済生会二日市病院 循環器内科)
  • 門上 俊明(済生会二日市病院 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年我が国では、食生活の欧米化や運動不足に伴い、メタボリックシンドロームを始めとする生活習慣病の頻度が増加の一途をたどっている。生活習慣病は、虚血性心臓病や高血圧性心臓病の発生を通して慢性心不全に至る重要な危険因子であり、早期からの介入の重要性が指摘されている。本研究では、この大規模コホート集団を用いて、日本人の生活習慣病における一次予防に必要な運動基準策定を目指した大規模介入研究を行う。
研究方法
我々は、過去3年間の厚生労働省科研費研究(平成18〜20年度)により、大規模かつ詳細な生活習慣病患者データベース(1万人登録)を確立している。
対象患者:参加施設およびその関連施設において既に生活習慣病の登録観察研究を行っている20歳以上の患者。文書による同意の得られる患者はすべて登録対象とする。目標症例数は10,000例で既に10,000例の登録が終了している。
日常診療データの登録に加え、健康手帳を全患者に手渡し、体重および腹囲のコントロールを指標として、身体活動量を評価しながら運動療法を施行した。運動量の目標は、「健康づくりの運動指針2006」を基に、ライフスタイルや年齢・合併症の程度に応じた身体活動量を決定した。
結果と考察
今回、新規発症心血管イベントに関する解析を行った。まず、研究期間中の身体活動量の変化は、日常診療において、各主治医から身体活動量の増加に関する指導が入っているにもかかわらず、経年的に低下していることが明らかとなった。
次に、本研究に登録した対象患者を身体活動量の変化により4群に分類し、3年間の急性心不全入院および新規心血管病入院(急性心不全・急性心筋梗塞以外の治療目的)を検討したところ、男女とも、低→低群で、急性心不全の新たな発症が最も多く、高→高群で最も少ないことが明らかとなった。また、急性心不全以外の治療目的(冠動脈インターベンションなど)の発症も、低→低群で最も多く、高→高群で最も少ないことが明らかとなった。
結論
今回の解析から、低い身体活動量が急性心不全やその他の心血管病の新規発症に関与していることが明らかとなった。今回、全症例で各主治医から運動量増加の指導が入ったにもかかわらず、高齢化に伴い経年的に身体活動量が低下していったことをふまえ、運動を阻害する因子が何か、明らかにしていく必要があると考える。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201120009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
低い身体活動量が急性心不全やその他の心血管病の新規発症に関与していることが明らかとなったことから、早期からの運動療法介入による心血管病の予防が期待できる。
臨床的観点からの成果
慢性心不全は生活習慣病の末期状態であり、運動療法の介入が生活習慣病を抑制し、心血管病および慢性心不全の発症予防につながると考えられる。
ガイドライン等の開発
平成23年10月14日に鹿児島で開催された第15回日本心不全学会学術集会のシンポジウムで「心不全ガイドラインを見直す」として審議した。
その他行政的観点からの成果
早期からの運動療法介入は、心血管病および慢性心不全の発症予防につながると考えられ、その結果、医療費の削減につながると考えられる。
その他のインパクト
市民公開講座として、平成24年4月28日に仙台で開催された、「第4回元気!健康!フェア in とうほく」において、市民向けに公開講座を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
12件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
三浦裕、福本義弘、下川宏明、他
Prevalence and Clinical Implication of Metabolic Syndrome in Chronic Heart Failure
Circ J , 74 (12) , 2612-2621  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
2016-06-06

収支報告書

文献番号
201120009Z