離島・農村地域における効果的な生活習慣病対策の運用と展開に関する研究

文献情報

文献番号
201120003A
報告書区分
総括
研究課題名
離島・農村地域における効果的な生活習慣病対策の運用と展開に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 木山 昌彦(大阪府立健康科学センター)
  • 佐藤 眞一(千葉県衛生研究所)
  • 山岸 良匡(筑波大学大学院)
  • 谷川 武(愛媛大学 大学院医学系研究科)
  • 小林 美智子(活水女子大学)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 岸本 拓治(鳥取大学医学部)
  • 白井 こころ(琉球大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
離島・農村地域において社会環境や健医療分野の人材・資源を活用し、特定健診・特定保健指導を効果的に運用、評価するとともに、非肥満者のハイリスクグループへの保健指導の効率的な実施とポピュレーションアプローチを加えた生活習慣病予防対策を体系的に整備して、実践するモデルを形成する。
研究方法
対象地域における生活習慣と生活習慣病の実態把握として、循環器疾患の死亡率の動向と社会的因子を含んだ生活習慣に対するアンケート調査結果(今年度は奄美市・大洲市で実施)の地域比較を行う。特定健診受診率・特定保健指導終了率について、平成20~22年度の3年間の変化を検討し、受診率および終了率向上に効果的な方策について検討した。
結果と考察
対象地域における循環器疾患年齢調整死亡率の動向について、各地域とも40~64歳ならびに65~74歳の脳血管疾患の死亡率は減少したものの、40~64歳の虚血性心疾患は不変かまたは微増傾向がみられた。脳血管疾患死亡のSMRは、高血圧予防対策を長期間実施している地域が他地域に比べて低かった。生活習慣に対するアンケート調査について、喫煙に関して、奄美市は、他の地域に比べて喫煙に関する健康意識が高かった。生活習慣病の有病率の推移に関して、高血圧有病率は、男女ともに旭市、匝瑳市、銚子市が他の地域に比べて高かった。糖尿病有病率は、男性では井川町が、女性では奄美市、今帰仁村、南城市が高かった。さらに、肥満は、男女とも井川町、今帰仁村、南城市が高く、メタボリックシンドロームも、男女とも今帰仁村、南城市が高かった。
特定健診受診率、特定保健指導終了率の推移に関して、特定健診受診率は、井川町、筑西市、銚子市、知夫村、今帰仁村、南城市において上昇傾向がみられ、桜川市、旭市、匝瑳市、大洲市、奄美市においては減少傾向がみられた。特定保健指導終了率は、井川町、桜川市、匝瑳市、知夫村、今帰仁村、南条市では上昇したが、筑西市、旭市、銚子市、大洲市、新上五島町、奄美市では減少した。特定健診受診率に比べて、特定保健指導終了率は地域間の差が大きかった。
結論
離島・農村地域においても、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームの有病率が高い地域があり、その予防対策も進める必要がある。
特定健診受診率・特定保健指導終了率の向上のための方策は、各自治体で実施できる内容は異なるが、電話、家庭訪問による健診受診勧奨、医療機関との連絡調整を進めることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

文献情報

文献番号
201120003B
報告書区分
総合
研究課題名
離島・農村地域における効果的な生活習慣病対策の運用と展開に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 木山 昌彦(大阪府立健康科学センター)
  • 佐藤 眞一(千葉県衛生研究所)
  • 山岸 良匡(筑波大学大学院)
  • 谷川 武(愛媛大学 大学院医学系研究科)
  • 小林 美智子(活水女子大学)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 岸本 拓治(鳥取大学医学部)
  • 白井 こころ(琉球大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
離島・農村地域において社会環境や健医療分野の人材・資源を活用し、特定健診・特定保健指導を効果的に運用、評価するとともに、非肥満者のハイリスクグループへの保健指導の効率的な実施とポピュレーションアプローチを加えた生活習慣病予防対策を体系的に整備して、実践するモデルを形成する。
研究方法
1)社会環境・保健医療資源の実態把握、2)生活習慣病(脳卒中、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム)の実態把握、3)特定健診・特定保健指導の実施と評価、4)ポピュレーションアプローチの実施と評価、5)医療費への影響の評価を行い、予防対策の実現可能性や効果を検討した。
結果と考察
社会環境・保健医療資源について、小離島地域(知夫村や新上五島町)では、高齢化率ならびに高齢者単身世帯化が進んでいた。人材や施設等の保健医療資源は、人口の多い地域(旭市、大洲市、奄美市)において比較的充実していた。循環器疾患年齢調整死亡率の動向について、各地域とも40~64歳ならびに65~74歳の脳血管疾患の死亡率は減少したものの、40~64歳の虚血性心疾患は不変かまたは微増傾向がみられた。高塩分食の食習慣が残る地域では、高血圧有病率が高かった。さらに、高血圧だけでなく糖尿病や肥満といった都市部で問題になっている生活習慣病が増加していた。特定健診受診率、特定保健指導終了率の推移に関して、特定健診受診率は、井川町、筑西市、銚子市、知夫村、今帰仁村、南城市において上昇傾向がみられ、桜川市、旭市、匝瑳市、大洲市、奄美市においては減少傾向がみられた。特定保健指導終了率は、井川町、桜川市、匝瑳市、知夫村、今帰仁村、南条市では上昇したが、筑西市、旭市、銚子市、大洲市、新上五島町、奄美市では減少した。特定健診受診率に比べて、特定保健指導終了率は地域間の差が大きかった。オリジナル教材や副読本などの、視野に訴える教材を用いた指導は、知識の増大に効果があったが、短期間の指導では行動変容まで至らなかった。特定保健指導終了区分別にみた国保医療費への影響について、数年間の短期的評価からは、積極的支援未終了以外は医療費が増加する傾向がみられた。
結論
離島・農村地域では、従来、高血圧、脳血管疾患が多い地域が存在するため、減塩活動は引き続き重要である。一方で、肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームの有病率が比較的高い地域があり、肥満予防・減量に関する活動が必要となる。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201120003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
離島・農村地域においても、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームの有病率が高い地域があり、その予防対策を進める必要がある。特定健診受診率・特定保健指導終了率の向上のための方策は、各自治体での重点内容は異なるが、通知方法の工夫、電話・家庭訪問による健診受診勧奨、個別健診を実施している医療機関との連携等を進めることが重要である。特定健診・特定保健指導の中間見直しや今後の展開を進める上での有用なエビデンスと考えられる。
臨床的観点からの成果
離島・農村地域では、未だに高血圧、脳血管疾患が高率な地域が存在するため、減塩対策は引き続き重要である。平成20年度から内臓脂肪を基盤としたメタボリックシンドロームの予防対策として特定健診・特定保健指導が始まったが、効率的・効果的な生活習慣病予防を行うためには、内臓脂肪を基盤とするメタボリックシンドロームへの対策のみならず、非肥満者においてもリスクファクターを有する者への対策とその評価が必要である。
ガイドライン等の開発
今回はガイドラインの作成は行っていないが、特定健診・特定保健指導の受診・参加勧奨の効果的に行うための方策を、対象地域の経験と実績に基づき報告している。平成24~26年の厚生労働科学研究「離島・農村地域の効率的、効果的な生活習慣病対策の推進に関する研究」において、これらの方策の実施状況に関する全国自治体を対象としたアンケートを行う計画であり、効率的、効果的な対策の推進に関するガイドラインの作成へとつなげる。
その他行政的観点からの成果
平成23年7年4日 保険者による健診・保健指導等に関する検討会(保険局)、
並びに、平成23年12年27日 健診・保健指導の在り方に関する検討会(健康局)において、本研究の成果である、非肥満のリスク要因保有者への対応、特定健診受診率・特定保健指導終了率の向上のための方策、医療費へ影響に関して長期的な評価の必要性についてのデータを参考人として報告した。平成24年4月13日「健診・保健指導の在り方に関する検討会 中間とりまとめ」で、本研究の成果が反映された。
その他のインパクト
対象地域における学術専門職と保健・医療行政専門職との研修・意見交換会を4回開催し、地域の生活習慣病対策における保健医療に関する物質的・人的資源の活用、保健指導の方法についての意見交換、議論を行った。
1.鹿児島県奄美市にて平成22年1月18日~19日
2.島根県知夫村にて平成22年6月30日~7月2日
3.秋田県井川町にて平成23年7月29日~7月31日
4.愛媛県大洲市にて平成23年9月7日~9月9日

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
115件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
16件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120003Z