ATLの診療実態・指針の分析による診療体制の整備

文献情報

文献番号
201119088A
報告書区分
総括
研究課題名
ATLの診療実態・指針の分析による診療体制の整備
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-がん臨床・一般-022
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
塚崎 邦弘(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 俊樹(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
  • 飛内 賢正(国立がん研究センター中央病院)
  • 宇都宮 與(今村病院分院)
  • 鵜池 直邦(九州がんセンター)
  • 石澤 賢一(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 石田 陽治(岩手医科大学)
  • 内丸 薫(東京大学医学研究所付属病院)
  • 田中 淳司(北海道大学大学院医学研究科)
  • 石塚 賢治(福岡大学医学部)
  • 石田 高司(名古屋市立大学)
  • 野坂 生郷(熊本大学医学部付属病院)
  • 今泉 芳孝(長崎大学病院)
  • 戸倉 新樹(浜松医科大学医学部)
  • 河井 一浩(鹿児島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 天野 正宏(宮崎大学医学部)
  • 大島 孝一(久留米大学医学部)
  • 岩永 正子(帝京大学 大学院公衆衛生学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
16,484,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HTLV-1ウイルスによる成人T細胞白血病リンパ腫)ATLは難治性かつ多様な臨床病態をとる。その予後予測と治療法の選択には臨床病型(急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型)分類が有用だが、予後は他の造血器腫瘍よりも不良で、HTLV-1キャリアのATL発症予防法は開発されていない。本研究はATL診療の問題点を研究し、適切な診療体制の確立を目指す。
研究方法
①全国の医療機関におけるATLの診療実態と治療成績の分析
②ATLの発症形態による4病型分類の再検証
③ATL診療ガイドラインの解説の作成
④患者の目線から見たATLに対する診療体制のあり方の確立
結果と考察
①昨年度渡邉班の調査では、ATLの多発・非多発地域では病型ごとの治療方針に少なからぬ差異があった。2000年代の急性型・リンパ腫型ATLの全国調査では、病期、年齢、血清Alb値、全身状態(PS)と可溶性IL2受容体の5因子が、JCOG-LSGによる高悪性度ATLへの3臨床試験の統合解析では、高Ca血症とPSの2因子がそれぞれ予後因子として抽出された。しかし両報告とも予後良好群であっても生存期間中央値は1年強と他の造血器腫瘍より不良で、層別化治療のためのモデル確立には至らなかった。以上を踏まえ本班研究3年目にATL診療実態・予後のアウトカム調査を行う準備を進めた。②くすぶり型ATLとHTLV-1キャリアの識別は、末梢血の形態的ATL細胞同定よるが、診断が一定しないことがある。その補助診断には、表面形質解析ではCD3、CD26、CCR4、TSLC1の組み合わせが有用で、サザンブロット解析では非典型例がかなりあった。皮膚病変は、結節腫瘤型や局面型が多いが多彩であり、くすぶり型に多いがそれ以外のATL病型でも認め、予後因子となる。リンパ節病理像は多彩なので、特に多発地域では、HTLV-1キャリアに発症したATL以外のリンパ系腫瘍との識別が問題となるが、その多くは他の末梢性T細胞腫瘍又はホジキンリンパ腫であった。③日本の関連学会がそれぞれ作成・改訂中の造血器腫瘍と皮膚悪性腫瘍の診療ガイドラインにつき、一般内科・皮膚科医とATL専門医に対して、複合的にその解説を取り纏める調整を始めた。④上記を踏まえ同時期に始まった(H23-がん臨床-一般-020)内丸班と合同会議を2回開催して、ATLを含むHTLV-1関連疾患の診療体制を確立するための方策を協議した。
結論
本研究では、整備されつつあるがん対策・HTLV-1/ATL対策のグループ、学会、患者団体とも協同し、患者に分かり易く安心なATL診療のネットワークを構築する。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119088Z