文献情報
文献番号
201119084A
報告書区分
総括
研究課題名
より有効ながん医療政策の決定に資する、がん対策に対する医療経済評価に関する研究
課題番号
H23-がん臨床・一般-018
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小松 恒彦(帝京大学 医学部第三内科)
研究分担者(所属機関)
- 湯地 晃一郎(東京大学医科学研究所附属病院 内科)
- 眞鍋 文雄(医療法人社団桐友会まなべクリニック )
- 斉藤 秀之(医療法人社団筑波記念病院 リハビリテーション部)
- 鞍馬 正江(医療法人社団筑波記念病院 つくば血液病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
癌に関わる予防、早期発見、治療における費用およびその効果と癌による経済的損失等の間接費用および精神社会的な費用を国民にもわかりやすくかつ医療政策決定にも資すことができる指標で明示すること。既にコンセンサスの得られているデータを活用することで方法論に拘泥することなく喫緊の課題に応えることが重要。
研究方法
1)癌予防-禁煙の啓蒙、肝炎ウィルスの治療や子宮頸癌ワクチン等。2)早期発見-癌検診の有用性が示されている胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、前立腺癌。3)根治的治療-早期癌に対する手術・放射線・抗癌剤治療を診療報酬等から費用調査。4)非根治的治療-3対象外の癌への抗癌剤治療および在宅医療等に係る費用対効果を検討。5)間接費用および非医療費用-罹患による収入損失を表す間接費用と通院等に関わる非医療費用。6)精神社会的費用-癌による生活の質の低下による損失を定量的な数値指標で評価。対象とする癌は肺癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫。
結果と考察
医療政策決定に資すことができ費用対効果の高い癌として、特異的な予防法または確立された検診法がある胃癌、大腸癌、乳癌、子宮頸癌が本研究においては最も重要で、次いで重要なのが肝炎ウィルスキャリアを対象とした肝癌対策、過剰診断のリスクはあるが早期発見が可能な前立腺癌である。肺癌、膵癌は特異的予防法と確立された検診はなく、現時点では評価が困難。悪性リンパ腫と多発性骨髄腫の血液癌は抗癌剤治療で長期生存が得られるとして、間接費用・非医療費用と精神社会的費用の算出と費用便益分析の対象として有用と考えられた。
結論
1)予防可能な癌への十分な医療資源配分の必要性-子宮頸癌、胃癌、肝癌など一部の癌については特異的な予防法が確立されつつあり費用対効果、便益も期待される。2)早期発見が根治的治療に繋がる癌における検診の重要性-胃癌、大腸癌、乳癌、子宮頸癌は費用や受診し易さに配慮しつつ、進行期発見における費用の増大を国民に示す必要。3)非医療費用の試算-既存の文献による報告はない。我々の試算では1回の通院に数千円から数万円を要すると推計。長期の非根治的治療が必要な患者には負担大。4)子宮頸癌患者における間接費用の推計-進行期子宮頸癌を発症した例で、数千万円の間接費用(損失)が発生することが判明。
公開日・更新日
公開日
2015-06-02
更新日
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