文献情報
文献番号
201119083A
報告書区分
総括
研究課題名
がん診療におけるチャイルドサポート
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-がん臨床・一般-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 美和(聖路加国際病院)
研究分担者(所属機関)
- 石田 也寸志(聖ルカ・ライフサイエンス研究所)
- 的場 元弘(国立がん研究センター中央病院)
- 小林 真理子(放送大学)
- 田巻 知宏(北海道大学病院)
- 大谷 弘行(九州がんセンター)
- 清藤 佐知子(四国がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん診療領域に存在する子どもへの支援体制の構築を本研究班の目的とする。がん患者の約1/4は、子育て中の親であることが報告される中、その子どものサポートに関する子ども自身を対象に含む調査は、当研究班が引き継ぐH20-22年度がん臨床研究事業(H20-がん臨床・一般-001)が本邦では初めてであった。多施設における介入調査として発展させ、簡便に実践可能な子どもグループプログラムの完成を目指す。並行して、小児がん治癒後の自立・就労支援のシステムの構築・情報発信を目的とする。
研究方法
1.がん患者の子どもへのチャイルドサポート
1)チャイルドサポートを実践している米国4施設の見学・情報共有
2)米国視察を踏まえ、各施設に適当な子ども支援体制を整え、研究協力5施設共同による介入前後での親子のアンケート調査
3)子どもグループCLIMBの実践、日本語版完成
2.小児がん経験者の自立・就労支援
1)成人した経験者の就労に関するアンケートの解析
2)就労パイロット事業の実践(東北、九州)
3)小児がん経験者の法的支援の探求
1)チャイルドサポートを実践している米国4施設の見学・情報共有
2)米国視察を踏まえ、各施設に適当な子ども支援体制を整え、研究協力5施設共同による介入前後での親子のアンケート調査
3)子どもグループCLIMBの実践、日本語版完成
2.小児がん経験者の自立・就労支援
1)成人した経験者の就労に関するアンケートの解析
2)就労パイロット事業の実践(東北、九州)
3)小児がん経験者の法的支援の探求
結果と考察
[結果]
1. 3施設で介入調査の倫理委員会の承認を得た。1施設では介入前アンケートの回収が始まり(親12、子4)、癌患者である親から子へのサポート享受感は低く、子どものQOL評価は、身体、情緒、社会的機能は親の方が子ども自身の評価より高く、学校機能は親評価の方が低い傾向であった。子どもグループCLIMBの製作者Dr. Sue Heineyを招聘し、日本版実践の好評価を受けた。同時にファシリテーター養成の準備を行った。
2. 小児がん経験者の自立の現状(成人した経験者56名、保護者133名のデータを解析):健康上の理由で転職辞職する(オッズ比(OR)3.3)、ボランティア活動に積極的(OR4.1)で、社会に役立ちたいから働きたい(OR4.2)事がわかった。就労パイロット事業の課題は、支援体制を充実させると採算が合わず、共済保険団体との共存など新たな事業展開の必要性がわかった。また、障害者基本法の対象範囲に含まれることが確認できた。
[考察]
がん患者の子どもは支援を必要としている存在であり、個々のサポート、グループ実践の有用性を今後継続して検証・啓発していく必要がある。小児がん経験者の就労に関して今回浮き彫りになった課題に焦点をあてたさらなるアンケート調査を行い、障害者制度改革推進会議総合福祉部会へ、積極的に提示していく必要がある。
1. 3施設で介入調査の倫理委員会の承認を得た。1施設では介入前アンケートの回収が始まり(親12、子4)、癌患者である親から子へのサポート享受感は低く、子どものQOL評価は、身体、情緒、社会的機能は親の方が子ども自身の評価より高く、学校機能は親評価の方が低い傾向であった。子どもグループCLIMBの製作者Dr. Sue Heineyを招聘し、日本版実践の好評価を受けた。同時にファシリテーター養成の準備を行った。
2. 小児がん経験者の自立の現状(成人した経験者56名、保護者133名のデータを解析):健康上の理由で転職辞職する(オッズ比(OR)3.3)、ボランティア活動に積極的(OR4.1)で、社会に役立ちたいから働きたい(OR4.2)事がわかった。就労パイロット事業の課題は、支援体制を充実させると採算が合わず、共済保険団体との共存など新たな事業展開の必要性がわかった。また、障害者基本法の対象範囲に含まれることが確認できた。
[考察]
がん患者の子どもは支援を必要としている存在であり、個々のサポート、グループ実践の有用性を今後継続して検証・啓発していく必要がある。小児がん経験者の就労に関して今回浮き彫りになった課題に焦点をあてたさらなるアンケート調査を行い、障害者制度改革推進会議総合福祉部会へ、積極的に提示していく必要がある。
結論
がん診療におけるトータルケアの実践に子ども支援は欠かせない視点である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-02
更新日
-