肛門扁平上皮癌に対する新規化学放射線療法の確立

文献情報

文献番号
201119078A
報告書区分
総括
研究課題名
肛門扁平上皮癌に対する新規化学放射線療法の確立
課題番号
H23-がん臨床・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
濱口 哲弥(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 消化管腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院)
  • 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター)
  • 齋藤 典男(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 正木 忠彦(杏林大学医学部附属病院)
  • 高橋 慶一(東京都立駒込病院)
  • 長谷川 博俊(慶應義塾大学医学部)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院)
  • 佐藤 武郎(北里大学医学部)
  • 絹笠 祐介(静岡県立静岡がんセンター)
  • 金光 幸秀(愛知県がんセンター中央病院)
  • 山口 高史(独立行政法人国立病院機構京都医療センター)
  • 大植 雅之(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター)
  • 久保 義郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター)
  • 白水 和雄(久留米大学)
  • 北野 正剛(国立大学法人大分大学医学部)
  • 伊藤 芳紀(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,016,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肛門扁平上皮癌に対する国内標準治療の確立を目的とする。今日の国際標準治療は5-FU+MMC併用放射線(RT)療法となっているが、国内で開発された経口抗がん剤であるS-1を使用することにより、有効性および利便性の向上が期待できることから、S-1+MMC+RT療法が、標準治療である5-FU+MMC+RT療法と比べて同等以上の有効性と安全性を有するか否かを評価することで新しい国内標準治療とできるかどうかを検証する。
研究方法
臨床病期II/III期肛門管扁平上皮癌患者を対象とし、JCOG大腸がんグループによる第I/II相試験(JCOG0903)として現在第Ⅰ相部分を行い、S-1の推奨用量を決定する。その後、第II相部分を行い計65例を集積する。Historical controlである5-FU+MMC+RTと比べて同等以上の有効性が示されれば、本治療法を標準治療とみなす。つまり、肛門がんは稀少疾患であるため、非ランダム化単アーム試験であるが、本試験を検証的試験と位置付けた。また放射線治療の品質管理(QA)・品質保証活動(QC)も並行して行う。
結果と考察
S-1の推奨用量を決定するために第I相試験をおこなったところ骨髄抑制は想定内であったが、レベル1 (S-1 80mg/m2/day)で肝障害2例が出現した。肝障害に関しては用量相関がないと考えられていることから、レベル1を第II相試験の推奨用量と決定した。第Ⅰ相試験登録10例の有効性評価では、1例のみ遺残が推察され救援手術に回っているのみで、それ以外の9例はすべてCRと報告された。この救援手術例も病理学的には完全消失であったことから有効性も十分期待できると思われる。
一方、第I相試験登録例の効果中央判定会議において効果判定規準の問題点が明らかになったため、CR規準の「潰瘍(白苔)、びらんの消失」の項目は削除し、直腸・肛門管内の隆起の有無や管腔外の腫瘍の評価もするために、直腸診、骨盤MRIの所見を追加するなど、CR判定規準を修正した。
結論
第Ⅰ相部分が終了し、DLTは骨髄抑制(血小板減少)と肝障害(AST/ALT上昇)であり、第II相部分の推奨投与量はレベル1のS-1 80mg/m2/day、MMC 10mg/m2となった。現在、第II相部分の登録を継続しているところである。稀少疾患であるゆえ、患者リクルートを工夫し、早急に本試験を完遂させたいと考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119078Z