切除不能局所進行膵がんに対する標準的化学放射線療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201119072A
報告書区分
総括
研究課題名
切除不能局所進行膵がんに対する標準的化学放射線療法の確立に関する研究
課題番号
H23-がん臨床・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
古瀬 純司(杏林大学 医学部 内科学腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 浩(がん研究会有明病院 消化器内科)
  • 奥坂 拓志(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵腫瘍科)
  • 福冨 晃(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
  • 宮川 宏之(JA北海道厚生連札幌厚生病院 消化器科)
  • 菱沼 正一(栃木県立がんセンター 外科)
  • 長瀬 通隆(自治医科大学 臨床腫瘍部)
  • 山口 研成(埼玉県立がんセンター 消化器内科)
  • 山口 武人(千葉県がんセンター 消化器内科)
  • 池田 公史(国立がん研究センター東病院 肝胆膵腫瘍科)
  • 大川 伸一(神奈川県立がんセンター 消化器内科)
  • 田中 克明(横浜市立大学市民総合医療センター  消化器病センター)
  • 木田 光広(北里大学東病院 消化器内科)
  • 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科)
  • 細川 歩(富山大学付属病院 第三内科)
  • 井岡 達也(大阪府立成人病センター 検診部消化器検診科)
  • 中森 正二(国立病院機構大阪医療センター 統括診療部)
  • 柳本 泰明(関西医科大学付属枚方病院 肝胆膵外科)
  • 井口 東郎(国立病院機構四国がんセンター 臨床研究センター)
  • 古川 正幸(国立病院機構九州がんセンター 消化器肝胆膵内科)
  • 伊藤 鉄英(九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科)
  • 伊藤 芳紀(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
  • 中村 聡明(大阪府立急性期・総合医療センター 放射線治療科)
  • 横須賀 收(千葉大学大学院 医学研究院 腫瘍内科学)
  • 佐野 圭二(帝京大学 医学部 外科学講座)
  • 清水 京子(東京女子医科大学 消化器内科)
  • 峯 徹哉(東海大学 医学部 消化器内科)
  • 東 健(神戸大学大学院 医学研究科 消化器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,836,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、切除不能局所進行膵癌の予後の改善を目指し、化学療法と化学放射線療法を用いたランダム化比較試験を行うことにより、最も効果的な標準治療を確立することを目的とする。
研究方法
本研究では、まず、初めからS-1化学放射線療法を行う治療と導入GEM化学療法後にS-1化学放射線療法を行う治療とのランダム化第II相試験を実施し、より有望な化学放射線療法を選択する。続いて、選択した化学放射線療法を現在の標準治療であるGEM化学療法とランダム化比較する第III相試験を実施し、局所進行膵癌に対する新しい標準治療を確立する。
結果と考察
【結果】
本ランダム化第II相試験(JCOG1106試験)は、平成23年度6月にプロトコールが完成、同年10月、JCOGプロトコール審査委員会の承認が得られた。11月より各施設での倫理委員会の審査が進められ、承認が得られた施設から登録を開始している。2012年5月現在、21施設が登録可能となり、現在、12例が登録されている。
【考察】
切除不能局所進行膵癌の生存期間(OS)中央値は10-12ヵ月であり、満足できるものではない。局所進行膵癌に対する標準治療は化学療法あるいは化学放射線療法とされているが、その優劣について一定のコンセンサスは得られていない。
わが国と台湾の共同試験として、切除不能膵癌に対するGEM、S-1、GEM+S-1併用(GS)の3群による大規模な比較試験(GEST試験)が実施され、GEMに対するS-1の非劣性が証明され、S-1は標準治療の一つとして位置づけられている。さらに放射線との併用でも有効性が示唆され、第II相試験ではOS中央値16.2ヵ月と良好な治療成績が得られている。
一方、局所進行膵癌では、治療開始後早期に遠隔転移などの増悪を認め、結果的に化学放射線療法を実施すべきでないと思われる症例が一定頻度でみられる。したがって、GEM化学療法を先行させた後、増悪がない患者に絞って化学放射線療法を行う治療法がリスク/ベネフィットバランスから有望と考えられる。現在、国際的にも局所進行膵癌の治療は一定のコンセンサスが得られておらず、本研究の成果は世界の膵癌治療の確立につながるものと期待される。
結論
局所進行膵癌に対する標準治療確立に向けて、第一ステップとして最良の化学放射線療法を選択するため、S-1併用化学放射線療法と導入GEM化学療法後S-1併用化学放射線療法とのランダム化第II相試験(JCOG1106試験)を開始した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
12,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,186,734円
人件費・謝金 2,790,317円
旅費 1,725,710円
その他 3,133,239円
間接経費 2,164,000円
合計 12,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-