地方自治体および地域コミュニティー単位の子宮頸がん予防対策が若年女性の意識と行動に及ぼす効果の実効性の検証

文献情報

文献番号
201119067A
報告書区分
総括
研究課題名
地方自治体および地域コミュニティー単位の子宮頸がん予防対策が若年女性の意識と行動に及ぼす効果の実効性の検証
課題番号
H23-がん臨床・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宮城 悦子(横浜市立大学附属病院 化学療法センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 裕樹(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川がんセンター臨床研究所 婦人科)
  • 大重 賢治(横浜国立大学 保健管理センター)
  • 平原 史樹(横浜市立大学大学院医学研究科 生殖生育病態医学)
  • 水嶋 春朔(横浜市立大学大学院医学研究科 疫学・公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,607,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
対策型子宮頸がん(以下頸がん)検診は死亡率減少効果が証明されているが,本邦では受診率が低迷し20~30歳代の頸がん罹患率・死亡率が上昇している.本研究の目的は,神奈川県の個々の自治体や地域コミュニティーが行っている検診受診率やHPVワクチン接種率向上の頸がん予防対策の実効性を動的に検証し,若年女性の頸がん予防行動促進に直結する有効な具体策を明らかにし,自治体や国の施策にフィードバックすることである.
研究方法
1. 既存資料からの頸がん発症年齢の若年化の分析.
2. 神奈川県地方自治体ごとのHPVワクチン公費助成と検診受診率などの予防対策の詳細についてのアンケート調査.
3. 横浜市の行政と横浜市立大学コミュニティーの頸がん予防対策の現状と効果分析.
4. 大学新入女子学生の頸がん予防意識と行動についてのアンケート調査.
5. 本研究事業内容の広報やイベントの効果分析.
結果と考察
疫学研究により日本における 20~40代女性の頸がんによる罹患率・死亡率増加が深刻であることを明らかになった.頸がん検診についての神奈川県の市町村検診担当者アンケート等の結果から,検診提供体制に自治体ごとに差があり個別勧奨の整備の重要性が明らかとなった.HPVワクチンの普及に関して横浜市では計画的な告知の準備を行いHPVワクチン接種公費助成を開始後平成23年12月までに対象者全体の約7割,高校2年生では約8割のHPVワクチン接種を達成した.一方で新入女子大学生の調査ではHPVワクチン接種率は約5.4%であり,公費助成をはずれた年代の若年女性の接種の普及には課題が残る.横浜市立大学附属病院で自費のHPVワクチン接種を希望した医療関係者の調査で,HPVワクチン接種前の対象者の頸がん検診受診率は51.6%であり,その中で定期検診受診者は43.3%に留まっているという実態も明らかになった.女子大生団体と行った本研究事業の公開イベントには202名が参加者しターゲットとする若年者の参加が約8割を占め,ソーシャルメディアを利用した広報の効果があると考えられた.
結論
継続的かつ効率的な子宮頸がん予防対策には,HPVワクチン公費助成対象年齢から検診対象年齢に至る女性への継続的な啓発に加え,受診しやすい環境整備が必要不可欠であることが明らかになった.さらに,若年女性をターゲットとした頸がん予防対策におけるソーシャルメディア利用が有効である可能性も示唆された.

公開日・更新日

公開日
2015-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119067Z