小児急性骨髄性白血病(AML)に対する標準的治療法の確立

文献情報

文献番号
201119065A
報告書区分
総括
研究課題名
小児急性骨髄性白血病(AML)に対する標準的治療法の確立
課題番号
H22-がん臨床・一般-042
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
足立 壮一(京都大学 医学研究科人間健康科学系専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 宮地 勇人(東海大学医学部基盤診療学臨床検査学)
  • 齋藤 明子(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 林 泰秀(群馬県立小児医療センター)
  • 滝 智彦(京都府立医科大学 医学研究科分子診断治療医学)
  • 多賀 崇(滋賀医科大学小児科)
  • 工藤 寿子(静岡こども病院血液腫瘍科)
  • 多和 昭雄(国立病院機構大阪医療センター小児科)
  • 富澤 大輔(東京医科歯科大学小児科)
  • 岩本 彰太郎(三重大学医学部付属病院小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児AMLの治療成績をさらに向上させ、治療毒性の軽減をはかるために小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)間の共同研究として全国規模の臨床試験を計画し標準的治療法の開発を目指す。本研究は難治性小児がんであるAMLに対して、質の高い臨床研究を実施してエビデンス創出を図り、根拠に基づく医療を普及して国民の医療・福祉の向上に貢献する。
研究方法
JPLSG AML委員会で、7つの臨床試験を計画し、うちde novo AML, APL, ダウン症候群に合併したAML(AML-DS)に対する3つの試験(AML-05, AML-P05, AML-D05)は予定登録症例数に達して登録完了、2つの臨床試験(AML-D11, AML-R11)が遂行中、2つの臨床試験(AML-12, AML-P12)を近々に開始予定である。
結果と考察
AML-05登録484例の内リスク確定例は低リスク群129例、中間リスク188例、高リスク55例であった。AML-05は極めて強力な化学療法であるが、感染症以外の有害事象の頻度は低く、有害事象による死亡例は484例中15例(3.1%)で、諸外国と比較しても低いレベルであり、感染症対策を十分行えば安全に施行できると考えられた。再発難治AMLに対する新規臨床試験AML-R11を開始し、多次元フローサイトメトリー(FACS)法を用いて微小残存病変(MRD)を解析中である。次期de novo AML臨床試験(AML-12)は寛解導入療法にAra-C大量療法を用いた試験アームと、標準アームのランダム化比較試験をMRDをプライマリーエンドポイントとして計画中である。APLはAML-P05の成績解析中で、AML-P12は予後良好群はATOを用いて晩期心毒性を来すアントラサイクリンの減量を、予後不良群はGOを用いて治療成績の向上を目指す。AML-DSはAML-D05の成績解析中であるが、標準リスク群からの再発は救済困難であり、AML-D11ではMRDの系(FACS,GATA1変異、WT1定量)を検証中である。
結論
小児AMLに対する標準的治療法の確立のため、JPLSGによる臨床試験を継続中であり、質の高い臨床試験を施行するために、データセンター(臨床データ管理)、診断小委員会(形態及び免疫中央診断)、新規予後因子探索(FACS、遺伝子解析)を継続する。

公開日・更新日

公開日
2015-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119065Z