抗がん剤効果予測による乳がん患者の再発リスク抑制と毒性軽減および医療経済負担低減に関する検証的研究

文献情報

文献番号
201119062A
報告書区分
総括
研究課題名
抗がん剤効果予測による乳がん患者の再発リスク抑制と毒性軽減および医療経済負担低減に関する検証的研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-039
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
戸井 雅和(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 笹野 公伸(東北大学 医学系研究科)
  • 山城 大泰(京都大学 医学研究科)
  • 石黒 洋(京都大学 医学研究科)
  • 稲本 俊(財団法人 天理よろづ相談所病院 乳腺外科)
  • 内藤 泰宏(慶應義塾大学 環境情報学部)
  • 杉本 昌弘(京都大学 医学研究科)
  • 近藤 正英(筑波大学 民源総合科学研究科)
  • 黒井 克昌(都立駒込病院 外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳がんのsubtype別予後予測、治療効果予測因子を内包する診療アルゴリズムを構築する。膨大な臨床病理組織学的情報の解析処理には数理モデル分析手法の導入を検討する。新規バイオマーカー探索を行い、医療経済学的効率性の検討を同時に行うことを主目的とする。

研究方法
京大病院症例、多施設前向き臨床試験症例を主対象に、臨床病理学的情報、腫瘍組織等の解析データを検討に用い、Ki67 labeling index (LI)、多遺伝子検査などの導入効果を検討する。Alternating decision treeを用いて数理モデルの構築、高精度化を行う。HER2+乳がんの病理組織学的抗腫瘍効果別に予後を予測するモデルを作成する。MicroRNAを用いたバイオマーカー研究を行う。70遺伝子シグネチャーなどの医療経済学的評価を行う。

結果と考察
Luminal-type乳がんでは組織グレード、病期等に加えて、増殖指標Ki67LI、多遺伝子検査を組み合わせたアルゴリズムを構築したが、予後予測、化学療法、ホルモン療法の効果予測、局所療法の予測にも有用と考えられた。複数の臨床的エンドポイントに応答可能と思われる。腋窩廓清手術の最適化、個別化に関する基礎的検討を行ったが、今後の研究に重要な臨床情報が集積された。
腋窩リンパ節転移予測モデル、術前化学療法効果予測モデルの高精度化を行い、データを入力すると予測結果を表示するwebシステムも構築した。予測精度の再現性、実用性を検討したが、実用な可能な域に近いと判断された。HER2陽性乳がんの術後予後予測モデルについても研究を開始した。Subtype別治療法の最適化、標準化に寄与すると考えられる。
miRNA let-7f等についてホルモン療法の新規バイオマーカーの研究を行った。
70遺伝子シグネチャーの日本の保健システム下における評価を行い、費用対効果に優れる可能性が示唆された。
結論
一連の成果は原発性乳がん患者における治療成績の向上と毒性の軽減とQOLの改善に寄与し、また医療経済的負担の軽減にも貢献すると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119062Z