離島をモデルとした新しい対策型大腸がん検診システムの構築とその実現に向けた研究-新島STUDY

文献情報

文献番号
201119061A
報告書区分
総括
研究課題名
離島をモデルとした新しい対策型大腸がん検診システムの構築とその実現に向けた研究-新島STUDY
課題番号
H22-がん臨床・一般-038
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松田 尚久(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 消化管内視鏡科)
研究分担者(所属機関)
  • 池松 弘朗(独立行政法人 国立がん研究センター 東病院)
  • 角川 康夫(独立行政法人 国立がん研究センター がん予防検診研究センター)
  • 九嶋 亮治(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院)
  • 小林 望(栃木県立がんセンター)
  • 寳澤 篤(東北大学大学院医学系研究科)
  • 堀田 欣一(静岡がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本における258の指定有人離島における理想的な地域大腸がん検診モデルの確立を目指し,科学的根拠に基づいた検診体制を構築するための臨床研究を策定することが主目的である.東京都新島村をモデルに「内視鏡検査による大腸がん検診受診率50%以上」の目標達成として計画する啓発活動の有効性評価と,検診非受検者に対して行う6か月ごとのリコールによる受診率向上効果を明らかにする.
研究方法
新島村住民で,平成23年度大腸がん検診の対象者中40~79歳の男女約1,600名に対して,検診としての全大腸内視鏡検査(TCS)の案内状を送付する.この時点で,文書による本研究参加の応諾が得られた者に対して,全例TCSを計画する(参加同意が得られない住民及び80歳以上の方については,例年通りの免疫学的便潜血検査:FOBTを推奨).上記いずれの検査も受検しなかった対象者に対しては,6か月間を利用して大腸がん検診の重要性とTCS及びFOBTのメリット・デメリット等について,パンフレット送付を通じて普及啓発活動を行った後に案内状を再送付(リコール)し,検診受診を再度呼びかける.
結果と考察
第一期検診結果:平成23年7月から9月の第一期検診にて,全検診対象者1,671名中29.7%にあたる497名より検診希望があり,その中の466名(93.8%)が大腸がん検診を受検した.これは,昨年度の新島村での検診受診率(12%)を大きく上回る数字である.検査種別内訳はTCS+FOBT:235名,TCS単独:111名,FOBT単独:120名であり,男性26.7%,女性28.6%の検診受検率であった.FOBT陽性率は8.2%(29/355)であり,陽性者に対するTCS精検が全例完了した.第一期検診としてのTCS検診を346名が受検した.第一期TCS検診では,96名(27.7%)に要治療病変(5mm以上の腫瘍性病変)を,また54名(15.6%)のIndex lesion(10mm以上の腫瘍あるいは内視鏡的に癌が疑われる病変)陽性者を認めた.現在,要治療者に対する内視鏡治療あるいは外科手術を都内専門施設にて保険診療として継続中であり,約65名の治療が完了している.
結論
内視鏡検査の受検機会が乏しい地域に対して,内視鏡専門医が直接出向き,検診の重要性に関する啓発活動と検診としての大腸内視鏡検査の機会を提供することにより,どの程度の検診受診率向上と大腸がん罹患率の抑制が得られるか,また非受検者に対するリコールによる受診率向上が得られるか否かについての検証が可能である.

公開日・更新日

公開日
2015-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119061Z