造血幹細胞移植の有効性と安全性向上のための薬剤のエビデンスの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201119055A
報告書区分
総括
研究課題名
造血幹細胞移植の有効性と安全性向上のための薬剤のエビデンスの確立に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-032
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
福田 隆浩(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 血液腫瘍科・造血幹細胞移植科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷口 修一(国家公務員共済組合 虎の門病院 血液内科)
  • 片山 義雄(神戸大学医学部附属病院 血液内科)
  • 高見 昭良(金沢大学附属病院 輸血部)
  • 神田 善伸(自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科)
  • 鈴木 律朗(名古屋大学 医学部 造血細胞移植情報管理学・生物統計学)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学病院 遺伝子・細胞療法部)
  • 中前 博久(大阪市立大学 血液腫瘍制御学・血液内科学)
  • 池亀 和博(兵庫医科大学 血液内科)
  • 山口 拓洋(東北大学大学院 医学系研究科 )
  • 森 毅彦(慶應義塾大学 医学部 血液内科)
  • 緒方 正男(大分大学医学部附属病院 輸血部 血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
29,508,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
移植片対宿主病(GVHD)や感染症に対する治療薬の、造血幹細胞移植領域における適応外使用の現状を全国調査により明らかにし、効能追加に直結する多施設共同臨床試験を行い、我が国独自の薬剤のエビデンスを確立することにより適応拡大を目指す。
研究方法
抗ヒトTリンパ球ウサギ免疫グロブリン(ATG)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、ホスカルネットナトリウム水和物(FCN)などの適応外使用の現状および実際の用法・用量や安全性・有効性に関する情報を調査すると共に、多施設共同臨床試験を行う(ATG 1件、MMF 2件、FCN 2件、真菌感染予防 1件、栄養・血糖管理 4件)。
結果と考察
【研究結果】
血縁者間移植におけるMMF、FCNの使用状況全国調査の結果を論文報告し(Iida, IJH 2011, Asakura, IJH 2010)、また高齢者における臍帯血ミニ移植でMMFを併用することにより早期非再発死亡が減少し生着率が高くなることを論文報告した(Uchida, Transplantation 2011)。平成23年度末の段階で、上記の臨床試験のうち6試験が症例登録を完了し、4試験は症例登録中である。前方視的モニタリング試験の結果、同種造血幹細胞移植後に7割以上の症例でHHV-6再活性化を認め、特に臍帯血移植症例でのHHV-6脳炎発症率は9.6%と高率であることを明らかにした。また少量FCN投与によるHHV-6脳炎予防試験の結果、50 mg/kg x10日間投与では効果が不十分であることを明らかにした。
【考察】
造血幹細胞移植後のGVHDは人種による差があることが知られており、海外で標準的に用いられているMMF、ATGなどの薬剤も、日本人における有効性、安全性のエビデンスを確立することは重要である。また本研究の過程で、オーファン領域における他の薬剤の適応拡大承認を促進する新たなモデルシステムを構築することは極めて重要である。
結論
本研究では、GVHDや感染症に対する治療薬の適応外使用が増加している現状を全国調査により明らかにし、効能追加に直結する臨床研究により我が国独自の薬剤のエビデンスを確立し適応拡大を行う。本研究結果を基にした公知申請により、平成23年5月に造血幹細胞移植領域におけるFCNの適応拡大が承認された。平成25年度中にMMFの適応拡大申請を目指している。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119055Z