成人T細胞白血病リンパ腫に対するインターフェロンαとジドブジン併用療法の有用性の検証

文献情報

文献番号
201119054A
報告書区分
総括
研究課題名
成人T細胞白血病リンパ腫に対するインターフェロンαとジドブジン併用療法の有用性の検証
課題番号
H22-がん臨床・一般-031
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
塚崎 邦弘(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 飛内 賢正(国立がん研究センター中央病院)
  • 宇都宮 與(今村病院分院)
  • 鵜池 直邦(九州がんセンター)
  • 石塚 賢治(福岡大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
33,197,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
未治療低悪性度の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)患者へのより有用な治療法を開発するため、高度医療評価制度により、それぞれ欧米伯と日本で標準治療とされているインターフェロンα(IFN)/ジドブジン(AZT)療法とwatchful waiting療法との第Ⅲ相比較試験を日本臨床腫瘍グループ(JCOG)のリンパ腫班(LSG)で行う。IFN/AZT療法の有用性が検証された場合、両薬剤の本疾患への薬事法上の適応拡大と保険適用を目指す。
研究方法
1) 臨床試験プロトコールの作成
2)高度医療評価制度による本臨床試験の開始準備
3)他のHTLV-1関連疾患の研究班との交流
結果と考察
1)平成20年度の厚労科研医療技術実用化総合研究事業で立案したコンセプトにより、フルプロトコールを作成した。
対象は20~75歳の未治療ATLで、全身状態と臓器能が保たれ、文書同意を取得した低悪性度ATL患者。治療内容は、スミフェロンDS 600万単位/レトロビル600mg。奏効が12週以上持続すれば、両薬剤とも半減する。watchful waiting群の2年無イベント生存割合を60%と仮定し、IFN/AZT療法はこれに20%上回ることとした。有意水準片側5%、検出力70%、登録3年、追跡2年、予定74例とした。完成したフルプロトコールはJCOG審査委員会で2011年9月から審査、翌年4月に承認された。
2)LSGの分担研究者、JCOGと製薬企業の研究協力者との医政局での第2回面談により、上記のプロトコールがJCOGで承認された後に速やかにLSG施設が高度医療評価制度下でIFNとAZTを用いた試験実施の申請にあたる注意点、スケジュール、有害事象報告の手順を共有した。研究協力者とは施設への高度医療による試験での申請、薬剤供給などの支援内容を協議した。
3)HTLV-1関連班合同会議を2回行い、臨床試験への患者リクルートの基盤を作り、患者団体とも共同して HTLV-1関連疾患総合対策に当っている。
考察)本第Ⅲ相試験は、患者発生が多く試験体制の整った日本でしかできない。次年度以降は、高度医療として試験を開始し、患者登録を推進する。結果がよく標準治療を確立できれば、学会、企業、患者団体に働きかけてATLへのIFNとAZTの薬事法上の適応拡大と保険適用を目指す。また検体を用いて分子生物学的な研究を行い、層別化治療法の開発も試みる。そして他のHTLV-1研究班と共同して関連疾患総合対策を目指す。
結論
未治療低悪性度ATL患者への有用な治療法を開発するため、本臨床試験を行い、IFN/AZTの本疾患に対する保険適用を目指している。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119054Z