国内外科手術成績を基礎とした経口抗がん剤による治癒切除大腸癌術後補助療法の確立

文献情報

文献番号
201119050A
報告書区分
総括
研究課題名
国内外科手術成績を基礎とした経口抗がん剤による治癒切除大腸癌術後補助療法の確立
課題番号
H22-がん臨床・一般-027
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森谷 宜皓(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 消化管腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 益子 博幸(JA北海道厚生連札幌厚生病院 外科)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院 外科)
  • 尾嶋 仁(群馬県立がんセンター 消化器外科)
  • 長谷 和生(防衛医科大学校 外科)
  • 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター 消化器外科)
  • 小西 文雄(自治医科大学 消化器外科)
  • 齋藤 典男(独立行政法人国立がん研究センター 東病院 大腸骨盤外科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター 消化器外科)
  • 正木 忠彦(杏林大学 消化器一般外科)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 腫瘍外科学)
  • 斉田 芳久(東邦大学医療センター大橋病院 外科)
  • 赤池 信(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター 消化器内視鏡学)
  • 藤井 正一(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター 下部消化管外科)
  • 瀧井  康公(新潟県立がんセンター新潟病院 大腸外科)
  • 伴登  宏行(石川県立中央病院 消化器外科)
  • 絹笠  祐介(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 金光  幸秀(愛知県がんセンター 消化器外科)
  • 山口 高史(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 大腸・骨盤外科)
  • 大植 雅之(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 三嶋 秀行(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 外科)
  • 福永 睦(市立堺病院 外科)
  • 池田 公正(箕面市立病院 外科)
  • 村田 幸平(市立吹田市民病院 外科)
  • 久保  義郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 消化器外科)
  • 北野 正剛(大分大学 第1外科)
  • 島田 安博(独立行政法人国立がん研究センター 中央病院 消化管腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,590,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内外科手術成績を基礎とした経口抗がん剤による治癒切除大腸癌補助療法の確立を目指して、大規模ランダム化比較試験を実施する。
研究方法
多施設共同研究としてJCOG0205(5-FU+L-LV対UFT/LV:標準治療の静注療法と試験治療の経口剤療法の比較)および、JCOG0910(Capecitabine対S-1:海外標準経口剤療法と新規試験経口剤療法の比較)のランダム化比較試験を計画実施した。
結果と考察
JCOG0205は最終解析を2011年12月に実施し、無病生存期間でUFT/LVの非劣性が検証された。解析対象の全適格例1,092例の成績を示す。主評価項目の両群の無病生存割合(DFS)は3年78.6%、4年75.2%、5年73.9%、全生存割合は3年94.2%、4年90.3%、5年87.9%であった。試験群UFT/LVのDFSでの非劣性はHR 1.016、P=0.0236であり検証された。また、生存期間でのHR 1.055であり、非劣性と結論できた。これらの数字は既報の海外試験と比較しても優れた治療成績である。日本式のD3郭清による手術手技や、再発後の抗がん剤治療の影響が考えられる。毒性ではUFT/LVで肝障害が多く、血液毒性は少ない傾向があった。食欲低下、下痢などは両群で同程度であった。以上より、経口剤UFT/LVが静注5-FU/l-LVに置き換えることが可能であると結論した。サブグループ解析ではTNM分類のStage IIICの予後は5年生存割合で58.9%と不良であり、再発高リスク群と考えられる。FOLFOXなどの強力な術後補助療法の適応となる可能性がある。JCOG0910は2010年3月から症例登録を開始し、2012年3月末で873/1550例が順調に登録されている。S-1の内服コンプライアンスも良好であり、治療成績の改善が期待される。
結論
JCOG0205試験の結果、Stage III大腸癌術後補助療法として、経口UFT/LVが標準治療のひとつであることが確認された。また、5年生存割合は極めて良好であり、海外での標準療法であるFOLFOXと比較して、有害事象の種類、頻回の通院、医療費の負担を考慮すると国内においては経口剤による治療選択が推奨される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119050Z