末梢小型非小細胞肺がんに対する縮小手術の有用性を検証する

文献情報

文献番号
201119047A
報告書区分
総括
研究課題名
末梢小型非小細胞肺がんに対する縮小手術の有用性を検証する
課題番号
H22-がん臨床・一般-024
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 健司(順天堂大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 守人(広島大学・呼吸器外科)
  • 渡辺 俊一(独立行政法人国立がん研究センター中央病院・呼吸器外科)
  • 吉野 一郎(国立大学法人千葉大学大学院 医学研究院・呼吸器病態外科学)
  • 小池 輝明(新潟県立がんセンター新潟病院・呼吸器外科)
  • 奥村 栄(がん研究会有明病院・呼吸器外科)
  • 近藤 晴彦(静岡県立静岡がんセンター・呼吸器外科)
  • 東山 聖彦(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター・呼吸器外科)
  • 中山 治彦(独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター・呼吸器外科)
  • 吉田 純司(独立行政法人国立がん研究センター東病院・呼吸器腫瘍科・呼吸器外科)
  • 坪井 正博(独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター・呼吸器外科)
  • 佐治 久(東京医科大学 外科学第一講座・呼吸器外科)
  • 中嶋 隆(大阪市立総合医療センター・呼吸器外科)
  • 吉村 雅裕(兵庫県立がんセンター・呼吸器外科)
  • 横瀬 智之(独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター・病理診断科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
27,049,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胸部CTをはじめとする様々な診断機器が発達するにつれ小型の肺癌が多く見つかるようになり、これまでいくつかの縮小切除の妥当性を問う研究がなされてきたが、そのほとんどはエビデンスのレベルとしては低い報告であった。本研究は小型肺癌に対する標準的な外科治療として縮小切除が妥当であるかどうかを多施設共同前向き試験として大規模に検証するものである。
研究方法
本研究はJCOG0802、JCOG0804の二つの臨床試験からなる。
いずれも多施設共同前向き試験であり、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ:肺がん外科グループ)とWJOG(NPO法人西日本がん研究機構)のグループ間共同研究(intergroup study)として行う。
高分解能CTを用いた画像上の非浸潤肺癌の定義とその妥当性試験(JCOG0201)を行い、画像上、原発巣のスリガラス陰影の長径に比した充実性成分の径が25%以下の症例を画像上の「非浸潤早期肺腺癌」と定義した。この診断規準に基づくものを第二相試験(JCOG0804)、それ以外を第三相試験(JCOG0802)の対象とした。
結果と考察
JCOG0802では485例の登録が得られている(平成24年4月1日現在)。JCOG0804では平成23年4月に330例の症例集積が終了した。JCOG0802では年齢の上限を改訂し、登録ペースは今より改善すると見込まれる。
縮小切除の有用性が検証されれば、小型肺癌に対する縮小手術の国際的な標準化が期待される。また臨床病期IA期の肺野小型非小細胞肺癌患者に対し、エビデンスに基づき、肺葉切除より優れた低侵襲標準治療が確立され、術後肺機能の温存を含む患者QOLの向上が期待される。0804の研究成果の先には外科切除以外の局所療法によって肺癌が治癒可能であるという可能性が世界で初めて示されることになる。
この試験結果は、ポジティブであってもネガティブであっても診療ガイドラインや関連領域の教科書を書き換えることになり、縮小手術の有用性が証明されれば、さらに次のステップとして、定位放射線治療などの非観血的治療との比較試験が行われると予想される。
結論
本研究では、2cm以下の肺癌患者は登録予定全施設で年間約1700名ある。同意取得割合を20-30%とすると、年間約400名の患者登録が見込まれ、JCOG0802では登録期間は約3年を要すると見込んでいる。JCOG0804では2011年4月26日をもって登録終了となり今後予後をフォローし、最終解析を2021年に行う予定である。
JCOG0802では今後ますますの症例を登録していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119047Z