進行頭頸部がんに対する化学放射線療法を中心とした集学的治療の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201119040A
報告書区分
総括
研究課題名
進行頭頸部がんに対する化学放射線療法を中心とした集学的治療の開発に関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 正人(独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田原 信(国立がん研究センター東病院 頭頸部内科)
  • 清田 尚臣(神戸大学医学部 腫瘍内科)
  • 全田 貞幹(国立がん研究センター東病院 臨床開発センター 粒子線医学開発部)
  • 本間 明宏(北海道大学医学部 耳鼻咽喉科)
  • 松浦 一登(宮城県立がんセンター 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 岩江 信法(兵庫県立がんセンター 頭頸科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,016,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、進行頭頸部がんに対する標準治療とされている化学放射線療法のわが国における標準化と、長期生存と機能温存を目指した至適集学的治療の開発である。本研究は、平成21年度までにがん研究助成金計画研究18-9により実施してきた多施設共同第Ⅱ相試験(JCOG0706)を継続し、その終了後すみやかに第Ⅲ相試験を実施して標準治療確立を目指すものである。JCOG0706は、根治切除不能の局所進行頭頸部扁平上皮癌を対象に、S-1(TS-1)とCisplatin(CDDP)の両薬剤と放射線照射同時併用療法の有効性と安全性を評価するものである。
研究方法
JCOG0706の化学療法スケジュールはS-1+ CDDP療法として放射線治療開始と同時に5週1コースとして2コース繰り返す。追加化学療法としてS-1+ CDDP療法を施行する:化学放射線療法にてCR、Good PR、PRの場合、最終の放射線照射日から4週間後に追加化学療法を開始する。化学放射線療法時と同じ化学療法レジメンを4週1コースとして2コース繰り返す。CR/Good PR以外で救済手術が行えなかった場合にはプロトコール治療中止、後治療自由とする。予定登録数:閾値CR割合40%、期待CR割合60%とした。片側α=0.1、β=0.1(検出力90%)として必要登録数を45例とした。
結果と考察
登録は平成20年7月28日に開始され、平成22年7月2日に登録が終了した。症例は中咽頭癌26例、下咽頭癌15例、喉頭癌4例であった。高分化扁平上皮癌が10例、中分化が17例、低分化が10例であった。主たる解析は平成24年2月に行われPrimary endpointである腫瘍完全消失割合は、64.4%であった。その内訳は、CR8例、goodPR21例、PR9例であった。現在までの1年生存割合は93.3%、2年生存割合は65.2%であった。今後もさらに追跡調査を続行し生存割合を検討する。
本試験は、primary endpointとして設定した60%を上回る成績であり、本レジメンは今後第III相試験を施行し標準治療としての確立を目指すべきと考えられた。
結論
JCOG0706は主たる解析を施行してPrimary endpointである腫瘍完全消失割合は、64.4%であった。予想していた有効性が証明されたと考えられる。今後は、追跡調査を行い生存割合を検討する。本試験の有効性に基づいてランダム化比較試験を検討する。さらに化学放射線療法の標準化に対して至適レジメンとその効果的で安全な施行について検討を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119040Z