がん患者のQOLに繋がる在宅医療推進に向けた、総合的がん専門医療職のがん治療認定医、がん専門薬剤師と協働するナース・プラクティショナーに関する研究

文献情報

文献番号
201119026A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者のQOLに繋がる在宅医療推進に向けた、総合的がん専門医療職のがん治療認定医、がん専門薬剤師と協働するナース・プラクティショナーに関する研究
課題番号
H22-がん臨床・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森 美智子(日本赤十字秋田看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 畑尾 正彦(日本赤十字秋田看護大学 看護学部)
  • 石田 也寸志(公益財団法人聖ルカ・ライフサイエンス研究所)
  • 白畑 範子(岩手県立大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,754,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 現在、日本では総合的がん専門医療職のがん治療認定医、がん専門薬剤師、がん専門看護師(CNS)の教育が進行している。CNS教育に、高度な医学知識・技術の水準を付加すると、的確な病態判断と合併症の予測判断ができ、ケアを行うと後遺症は少なく、最短の治癒過程をたどることができ、QOLを上げることができる。
 本研究は、生命・病状に独自に責任の持てる処置・対応やケアができる看護師を高度専門看護師(NP)と定義する。このような背景をふまえて、本研究では生命・病状に独自に責任の持てる処置・対応やケアができる看護師を高度専門看護師(NP)と定義し、がん診療におけるNPの存在意義と役割を考えていく基礎資料とすることを目的とした。
研究方法
 対象は、研究に同意した日本のCNS・がん化学療法認定看護師(246名)、台湾NP(115名)、米国NP(166名)および日本のプライマリ・ケア連合学会・日本癌治療学会等医師(226名)で、研究デザインは横断研究(自記式のアンケート調査)である。
<倫理面への配慮>調査施行前に施設研究倫理審査を受け承認を得る。本研究への参加は自由意志に基づくことを説明し、無記名で調査を施行し、調査票回収後は研究責任者が厳重な管理下で保管した。
<統計学的方法>アンケート回答者の属性別(年齢、性別、経験年数、勤務病院、専門診療科)に、各項目に対して習得の必要ありと答えた割合を集計し、割合をχ2乗検定または多変量解析を行った。統計学的な有意差の判定基準は両側検定でp<0.05とし、解析はSPSS Ver.19(IBM-SPSS Japan Inc, Tokyo)を使用した。
結果と考察
 日本の医師226名・看護師246名と米国166名・台湾115名のNP対象に調査、検討した。一般的な傷病に対応する基本的能力に必要な知識・技術、治療(処置.薬物)・面接・管理(サマリー等)、がんに特化して必要な知識・技術に関して、教育の到達目標のレベルは日本の研修医や、がん専門医の基本的能力に近く、また、患者のために医療行為を行う場合に必要な知識・技術に対する責任感は強く、NPの必要性や役割・業務と貢献についても看護専門職意識は高かった。
結論
 日本の研修医や、がん専門医の基本的能力をもつNPが必要である。その能力を持ったNPの役割と業務の遂行は、がん再発・転移治療、その他の長期闘病患者やターミナル患者を含む在宅患者のQOL向上には不可欠である。高齢社会の医療・福祉対策には、免疫力低下の老人が多い状況下で、上記の専門的知識と技能を持つNPの役割機能は重要な存在である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119026Z