地域医療に貢献する医師養成のためのバーチャルスライドを利用した学習ツールの開発

文献情報

文献番号
201119025A
報告書区分
総括
研究課題名
地域医療に貢献する医師養成のためのバーチャルスライドを利用した学習ツールの開発
課題番号
H22-がん臨床・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 高志(岩手医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 陽治(岩手医科大学 医学部)
  • 猪山 賢一(熊本大学 医学部)
  • 菅野 祐幸(信州大学 医学部)
  • 黒瀬 顕(弘前大学大学院 医学研究科)
  • 佐藤 洋一(岩手医科大学 医学部)
  • 白石 泰三(三重大学大学院 医学研究科)
  • 谷田 達男(岩手医科大学 医学部)
  • 東福寺 幾夫(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 中村 洋(日本医科大学付属病院)
  • 古谷 敬三(愛媛県立中央病院 検査部)
  • 森谷 卓也(川崎医科大学)
  • 吉見 直己(琉球大学大学院 医学研究科)
  • 梅田 みか(東北大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,328,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学教育において、疾患を学習する際、様々な分野(内科、外科、放射線科、病理)の医療画像を組み入れたデジタル教材は少なく、個々の専門図書を使った学習が主である。本研究では多忙な研修医のための、バーチャルスライド画像(VS)や多種の医療画像を用いて疾患を総合的に学習する教材の開発をおこなった。最終年度では、初年度に作成したプロトタイプに改良を加えて学習内容を増やし、実際に研修医らに利用してもらい評価を受けた。また、継続的に実施しているWEB会議に関しては、実際にパワーポイントを利用して教育への応用を検討した。
研究方法
VSを利用した学習ツールについては、初年度に取り上げた疾患とは別に最近話題となっている重要な消化器疾患10症例を選び、各班員がコンテンツを作成した。さらにVSにアノテーション、マーキングが表示できるようにシステム改良を行った。WEB班会議の実施については、「Adobe Connect8」ソフトを利用して、岩手(盛岡市と矢巾町)と沖縄を結んで行った。事前に発表用ファイルをサーバへアップロードして同期表示を可能にし、WEBカメラと音声の設定を行って岩手医大会議室と琉球大学の様子を表示しながら行った。
結果と考察
学習ツールに関しては、VSをはじめその他臨床画像を組み入れた11症例のコンテンツデータと、正常コンテンツ3例が完成した。これを研修医に対して使用してもらいアンケートをとった結果、VSデータを扱う教材としての評価が高く、さらなる機能充実と使いやすさを求める声が目立った。本ツールは医師養成のための教材として有用性が高いものと思われる。WEB会議については、目立った音声トラブルや画面の遅延等はなく、PPTファイルの発表など問題なく行えたため、遠隔講義としての利用が可能であると思われる。このシステムは遠方にいる研修医が自宅のPCから講義や会議に参加することが可能となるため、費用と時間の面で効率的なシステムといえる。
結論
最終年度の研究では、初年度に作成した学習ツールを改良し、実用化に近い形の雛形が完成した。また遠隔講義、カンファランスの検討を進め、これらのシステムが研修医、医師養成のための学習支援ツールとして有用性の高いものと示唆された。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201119025B
報告書区分
総合
研究課題名
地域医療に貢献する医師養成のためのバーチャルスライドを利用した学習ツールの開発
課題番号
H22-がん臨床・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 高志(岩手医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 陽治(岩手医科大学 医学部)
  • 井藤 久雄(鳥取大学 医学部)
  • 猪山 賢一(熊本大学 医学部)
  • 菅野 祐幸(信州大学 医学部)
  • 黒瀬 顕(弘前大学大学院 医学研究科)
  • 佐藤 洋一(岩手医科大学 医学部)
  • 白石 泰三(三重大学大学院 医学研究科)
  • 谷田 達男(岩手医科大学 医学部)
  • 東福寺 幾夫(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 中村 洋(日本医科大学付属病院)
  • 古谷 敬三(愛媛県立中央病院 検査部)
  • 森谷 卓也(川崎医科大学)
  • 吉見 直己(琉球大学大学院 医学研究科)
  • 梅田 みか(東北大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん治療を行う上で、内科、外科、放射線科、病理といった各科の連携は必要不可欠であり、お互いの分野を理解することが重要である。しかしながら、これらに応じた十分な教育プログラムは整備されているとはいえず、研修医らは多忙な日常の医療を行うなかで学習し、レベルアップする必要があった。また、地域による専門医師の偏在と不足は大きな社会問題で岩手県はとくに顕著である。本研究はこのような問題に対してIT機器を用いた教育システムの利用によって補完が可能であると考え、その具体的な開発と検証を行った。
研究方法
本研究では、IT機器を利用したソフト、支援ツールの開発として①バーチャルスライド(VS)を利用した自学習ツールの開発、②遠隔講義の検討、③複数による討論形式の開発と応用を行った。①は「Zoomify」ソフトを利用し、VSデータをWEBコンテンツとして組み入れ、サイトを構築した。②は本研究班会議において、「Adobe connect」を使い琉球大学と岩手医科大学を結んでWEB会議形式で会議を実施した。③は①の技術にWEBカメラ、マイクを設定し、VS画像を画面共有で表示できる「Medical fit」を開発し、その検証実験を行った。
結果と考察
VSを組込んだ学習ツールに関しては、研修医らに使用してもらいアンケートを行った。その結果、VSを扱った新しい形の教材として評価されるが、既存の電子教材と比較して使いやすさをさらに改良すべきとの意見がきかれ、デジタル図書の利点を活かしたリンク機能や、情報量の充実を求めるといった、実用化を期待する声が挙がった。遠隔講義の検討に関しては、全三回行ったWEB会議システムの経緯からみて目立ったトラブルはなく、遠隔講義としても十分使えるシステムであることが実証された。またカンファランスシステムにおいても、システムに対応するPC機器を使うことで、VSをみながら討論が可能であり、コンサルテーションや研究用途といった多目的の利用が可能であること示唆された。

結論
本研究を通してVSを用いた新しい形としての学習システムの雛形が完成した。IT機器を用いたこれらのシステムは、医師養成のための研修医、また生涯教育にも実用性が高く、医学教育への利用を大きく広げるものである。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201119025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医学教育は、成書を熟読して理解することと、病理組織、放射線、内視鏡、CT・MRIなどの画像をみて知識を深める両者が必要とされている。しかし、系統だった電子教材は作られておらず、テキストと画像を併用しながらの学習が主であった。本研究のバーチャルスライド(VS)を利用した学習ツールは、IT化の流れにしたがった電子教材といわれるものであるが、最近、消化器分野で話題となっている疾患を中心としたもので、内容的には疾患概念、VS、検査、治療といったテキストと画像を組み込んだ総合的電子教材といえる。
臨床的観点からの成果
VSを用いた遠隔講義、カンファランスへの応用については、医師の教育を目的としており、自宅のPCから会議やカンファランスに参加できる。通常のテレビ会議では、高額の会議システムの購入や会議会場に出かける必要があるが、このWEB会議システムでは、PCとインターネット環境で、いつでも、どこでも学習が可能あり、費用、時間の軽減と距離の短縮できる。また、VSをWEB会議に同期表示させることで、診断、治療のコンサルテーション、医師同士の会話が可能となり診断精度の向上につながる。
ガイドライン等の開発
今回は開発が主眼であるためガイドラインの作成にはいたらなかった。
その他行政的観点からの成果
行政的には、現在のような医師不足の時代において、臨床研修医が診療に時間をとられて学習の時間を十分にとることができず、研修会などへの参加のため自分の勤務する病院を留守にする余裕がない場合などにこのシステムは有用である。利用の仕方によっては、コンサルテーションや症例の検討にもリアルタイムで応用可能である。また、医師が生涯教育の一つとして、疾患の最近の動向について調べてみたいと思った場合でも疾患の概念から病態、検査、病理組織、治療方針など総合的に学習可能である。
その他のインパクト
岩手医科大学には社会人大学院制度があり、研修医は大学院の単位獲得のために診療しながら週末、あるいは夏季休暇などを利用して盛岡まで来て講義を受けて単位を取得する必要が生じている。それに対して、本研究で検討したシステムが遠隔講義として実施可能であるため、平成24年度に試験的に一部採用して講義に応用し、その結果によっては次年度から正式のプログラムとして導入予定である。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
15件
学会発表(国内学会)
26件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
中山 育徳, 松村 翼, 赤坂 俊英, 澤井 高志
皮膚科領域におけるvirtual slideを利用した遠隔病理診断用コンサルテーションシステムの開発.
岩手医学雑誌 , 64 (3) , 173-182  (2012)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119025Z