センチネルリンパ節理論による頭頸部癌微小転移の解明と個別的治療法の開発

文献情報

文献番号
201119016A
報告書区分
総括
研究課題名
センチネルリンパ節理論による頭頸部癌微小転移の解明と個別的治療法の開発
課題番号
H21-がん臨床・一般-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 泰久(愛知県がんセンター 頭頸部外科部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉本 世一(国立がん研究センター中央病院 頭頸部腫瘍科・形成外科)
  • 松塚 崇(福島県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 甲能 直幸(杏林大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 本間 明宏(北海道大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 塩谷 彰浩(防衛医科大学校 耳鼻咽喉科)
  • 横山 純吉(順天堂大学 耳鼻咽喉科頭頸科)
  • 大倉 康男(杏林大学 病理学)
  • 小須田 茂(防衛医科大学校 放射線医学講座)
  • 高橋 克昌(群馬大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 吉田 知之(東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 永藤 裕(杏林大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 吉崎 智一(金沢大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 上村 裕和(大阪府立成人病センター 耳鼻咽喉科)
  • 三浦 弘規(国際医療福祉大学三田病院 頭頸部腫瘍センター)
  • 菅澤 正(埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,984,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
頭頸部癌治療において、低侵襲と機能温存を目指す個別化医療の開発が求められている。予後因子である頸部リンパ節転移について頸部郭清術でそれを実現し、さらに新たな診断および治療法を開発することが目的である。
研究方法
1) センチネルリンパ節(SN)生検術手法の施行案の提案、2) 口腔癌に対する研究、3) 咽喉頭癌に対する研究、4) 分子生物学的手法によるSN微小転移検出とその臨床応用、5) 非RI画像診断法の開発、6) SN標的薬物療法の研究。
結果と考察
1) 調査研究計画「頭頸部がんSN生検術についての多施設における実態調査」を集計し、今後の口腔癌第3相試験計画書に反映させた。
2) ①「口腔癌に対するSNナビゲーション頸部郭清術の研究」を実施し、平成23年7月に登録予定症例数56例の登録を終了した。②「N0口腔癌における選択的頸部郭清術とSNナビゲーション手術の無作為化比較試験」の研究計画をまとめた。代表者施設の倫理委員会の承認を受け、平成23年11月よりこれまでに分担研究者所属施設を含む5施設で登録を開始した。
3)経口的切除法可能な咽喉頭癌に対するSN生検法を非ラジオアイソトープ(RI)法で行うことが咽喉頭癌ではより簡便で的確性が高く低侵襲であると考えられる、その実行可能性を遡及的に研究した。
4) ①「分子生物学的手法による頭頸部癌センチネルリンパ節転移診断の臨床的意義の検討」を4施設で実施し、10月に目標検体数に達し登録を終了した。CK19をマーカーとしてOSNA法を用いた。48症例148リンパ節を解析し、カットオフ値が131コピー/μlの設定で、感度82%、特異度99%の結果を得た。
5)  インドシアニングリーン(ICG)蛍光リンパ節造影法による経皮的な頸部SN同定の基礎研究を論文報告した。この成果を基に、「ICG蛍光法と放射線同位元素法を用いた口腔咽喉頭癌SN生検術の実行可能性の検討」を開始した。
6) SNを標的とするリンパ行性化学療法について、舌癌動注例を対象に検討し、抗癌剤(CDDP)濃度が非SNに比しSNで有意に高値であることを論文報告した。
結論
口腔癌外科治療においては長らくN0例に対する予防的頸部郭清術の功罪について議論が行われてきた。この議論に対して本研究はこれまでの研究成果を踏まえた上で、結論的到達点に達することができる臨床第3相試験を計画するに至った。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201119016B
報告書区分
総合
研究課題名
センチネルリンパ節理論による頭頸部癌微小転移の解明と個別的治療法の開発
課題番号
H21-がん臨床・一般-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 泰久(愛知県がんセンター 頭頸部外科部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉本 世一(国立がん研究センター中央病院 頭頸部腫瘍科・形成外科)
  • 松塚 崇(福島県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 甲能 直幸(杏林大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 本間 明宏(北海道大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 塩谷 彰浩(防衛医科大学校 耳鼻咽喉科)
  • 横山 純吉(順天堂大学 耳鼻咽喉科頭頸科)
  • 大倉 康男(杏林大学 病理学)
  • 藤岡 保範(杏林大学 病理学)
  • 小須田 茂(防衛医科大学校 放射線医学講座)
  • 高橋 克昌(群馬大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 古屋 信彦(群馬大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 吉田 知之(東京医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 永藤 裕(杏林大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 吉崎 智一(金沢大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 上村 裕和(大阪府立成人病センター 耳鼻咽喉科)
  • 三浦 弘規(国際医療福祉大学三田病院 頭頸部腫瘍センター)
  • 菅澤 正(埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
頭頸部癌治療において、低侵襲と機能温存を目指す個別化医療の開発が求められている。予後因子である頸部リンパ節転移について頸部郭清術でそれを実現し、さらに新たな診断および治療法を開発することが目的である。
研究方法
1)センチネルリンパ節(SN)生検術手法の施行案の提案、2)口腔癌に対する研究、3)咽喉頭癌に対する研究、4)分子生物学的手法によるSN微小転移検出とその臨床応用、5)非RI画像診断法の開発、6)SN標的薬物療法の研究。
結果と考察
1)調査研究計画「頭頸部がんSN生検術についての多施設における実態調査」を集計し、今後の口腔癌第3相試験計画書に反映させた。
2)①「口腔癌に対するSNナビゲーション頸部郭清術の研究」を実施し、平成23年7月に登録予定症例数56例の登録を終了した。②「N0口腔癌における選択的頸部郭清術とSNナビゲーション手術の無作為化比較試験」の研究計画をまとめた。代表者施設の倫理委員会の承認を受け、平成23年11月よりこれまでに分担研究者所属施設を含む5施設で登録を開始した。
3)経口的切除法可能な咽喉頭癌に対するSN生検法を非ラジオアイソトープ(RI)法で行うことが咽喉頭癌ではより簡便で的確性が高く低侵襲であると考えられる、その実行可能性を遡及的に研究した。
4)「分子生物学的手法による頭頸部癌センチネルリンパ節転移診断の臨床的意義の検討」を4施設で実施し、10月に目標検体数に達し登録を終了した。CK19をマーカーとしてOSNA法を用いた。48症例148リンパ節を解析し、カットオフ値が131コピー/μlの設定で、感度82%、特異度99%の結果を得た。
5)インドシアニングリーン(ICG)蛍光リンパ節造影法による経皮的な頸部SN同定の基礎研究を論文報告した。この成果を基に、「ICG蛍光法と放射線同位元素法を用いた口腔咽喉頭癌SN生検術の実行可能性の検討」を開始した。
6)SNを標的とするリンパ行性化学療法について、舌癌動注例を対象に検討し、抗癌剤(CDDP)濃度が非SNに比しSNで有意に高値であることを論文報告した。
結論
口腔癌外科治療においては長らくN0例に対する予防的頸部郭清術の功罪について議論が行われてきた。この議論に対して本研究はこれまでの研究成果を踏まえた上で、結論的到達点に達することができる臨床第3相試験を計画するに至った。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201119016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
口腔癌外科治療においては長らくN0例に対する予防的頸部郭清術の功罪について議論が行われてきた。本研究では調査研究と第2相試験の研究成果を踏まえた上で、結論的到達点に達することができる臨床第3相試験を計画するに至った。ラジオアイソトープを用いたセンチネルリンパ節生検法に基づくナビゲーション手術の予防的頸部郭清術は一律の選択的頸部郭清術に対して生存率は非劣性であるが術後機能障害および合併症において優位性を有すること、すなわち低侵襲性を今後の検証で明らかにする。
臨床的観点からの成果
早期頭頸部癌におけるセンチネルリンパ節(SN)生検術の研究成果は個別的、さらに低侵襲かつ機能温存の治療法が行われることである。SN生検術には一般にトレーサーにラジオアイソトープ(RI)を使用するため、不足する放射線診断医への対応、施設の制限、手続きの煩雑さなどが生じる。一方、非RI法であるインドシアニン・グリーン法では放射線防護設備器機と要員のない施設でも行うことが可能となり、医療のきんてん化に役立つことが期待される。
ガイドライン等の開発
これまでの所、特になし。
その他行政的観点からの成果
これまでの所、特になし。
その他のインパクト
厚生労働科学研究(がん臨床研究)推進事業として、2011年12月4日に頸部郭清術研修会(名古屋,ウィンクあいち)を開催し、約120名の医師の参加を得た。
研究分担者小須田茂はThe 10th Asia-Oceania Congress of Nuclear Medicine and Biology(May16-20, 2012, Tehran, Iran)で研究成果を発表し、賞を受賞した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
13件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
26件
学会発表(国際学会等)
10件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
頸部郭清術研修会(平成23年12月4日 ウインク愛知、名古屋)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hasegawa Y, Saikawa M
Update on the classification and nomenclature system for neck dissection: revisions proposed by the Japan Neck Dissection Study Group.
Int J Clin Oncol , 15 (1) , 5-12  (2010)
10.1007/s10147-009-0019-z.
原著論文2
Yamauchi K, Nagafuji H, Kohno N
Feasibility of ICG fluorescence-guided sentinel node biopsy in animal models using the HyperEye Medical System.
Ann Surg oncol , 18 (7) , 2042-2047  (2011)
10.1245/s10434-010-1499-9.
原著論文3
Yamauchi K, Fujioka Y, Kohno N.
Quantitative expression study of four cytokeratins and p63 in squamous cell carcinoma of the tongue: suitability for sentinel node navigation surgery using one-step nucleic acid amplification.
J clin pathol , 64 (10) , 875-879  (2011)
10.1136/jclinpath-2011-200085.
原著論文4
Yokoyama J, Ito S, Ohba S, et al
A novel approach to translymphatic chemotherapy targeting sentinel lymph nodes of patients with oral cancer using intra-arterial chemotherapy - preliminary study.
Head & Neck Oncology , 3 (42)  (2011)
10.1186/1758-3284-3-42.
原著論文5
Terada A, Hasegawa Y, et al
Follow-up after intraoperative sentinel node biopsy of N0 neck oral cancer patients.
Eur Arch Otorhinolaryngol , 268 (3) , 429-435  (2011)
10.1007/s00405-010-1364-2.
原著論文6
Yoshimoto S, Hasegawa Y, Matsuzuka T, et al
Sentinel node biopsy for oral and laryngopharyngeal squamous cell carcinoma: A retrospective study of 177 patients in Japan.
Auris Nasus Larynx , 39 (1) , 65-70  (2012)
10.1016/j.anl.2011.03.002.
原著論文7
Kitamura N, Kosuda S, Shiotani A, et al
Comparison of Animal Studies between Interstitial Magnetic Resonance Lymphography and Radiocolloid SPECT/CT Lymphoscintigraphy in the Head and Neck Region.
Ann Nucl Med , 26 (3) , 281-285  (2012)
10.1007/s12149-011-0565-0.
原著論文8
Yamauchi K, Fujioka Y, Kohno N.
Sentinel node navigation surgery versus observation as a management strategy for early tongue carcinoma.
Head Neck , 34 (4) , 568-572  (2012)
10.1002/hed.21776.
原著論文9
Matsuzuka T, Takahashi K, Hasegawa Y
Intraoperative molecular assessment for lymph node metastasis in head and neck squamous cell carcinoma using one-step nucleic acid amplification (OSNA) assay.
Ann Surg Oncol , 19 (12) , 3865-3870  (2012)
10.1245/s10434-012-2409-0.
原著論文10
Sakashita T, Homma A, Oridate N,et al
Platinum concentration in sentinel lymph nodes after preoperative intra-arterial cisplatin chemotherapy targeting primary tongue cancer.
Acta Otolaryngol , 132 (10) , 1121-1125  (2012)
10.3109/00016489.2012.680494
原著論文11
Mizokami D, Kosuda S, Tomifuji M, Araki K, Yamashita T, Shinmoto H, Shiotani A.
Superparamagnetic iron oxide-enhanced interstitial magnetic resonance lymphography to detect a sentinel lymph node in tongue cancer patients.
Acta Otolaryngol  (2012)
10.3109/00016489.2012.744143
原著論文12
小須田茂、新本弘、溝上大輔、富藤雅之、荒木幸二、塩谷彰浩、藤井博史、北村直人
頭頸部領域における間質内MRリンパ造影と放射性コロイドによるSPECT/CTリンパシンチグラフィ ― 動物実験による比較検討.
埼玉県医師会放射線科医会誌 , 7 (7) , 16-21  (2012)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201119016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,500,000円
(2)補助金確定額
19,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,165,183円
人件費・謝金 1,678,420円
旅費 2,036,350円
その他 7,112,027円
間接経費 3,516,000円
合計 19,507,980円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-