初発肝細胞癌に対する肝切除とラジオ波焼灼療法の有効性に関する多施設共同研究

文献情報

文献番号
201119015A
報告書区分
総括
研究課題名
初発肝細胞癌に対する肝切除とラジオ波焼灼療法の有効性に関する多施設共同研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
國土 典宏(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 幕内 雅敏(日本赤十字社医療センター)
  • 小俣 政男(山梨県立病院機構)
  • 小池 和彦(東京大学医学部附属病院)
  • 椎名秀一朗(東京大学医学部附属病院)
  • 長谷川 潔(東京大学医学部附属病院)
  • 赤羽 正章(東京大学医学部附属病院)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科)
  • 松山 裕(東京大学大学院医学系研究科)
  • 工藤 正俊(近畿大学医学部)
  • 有井 滋樹(東京医科歯科大学医学部)
  • 前原 喜彦(九州大学医学部)
  • 高山 忠利(日本大学医学部)
  • 久保 正二(大阪市立大学)
  • 大崎 往夫(大阪赤十字病院)
  • 山田 晃正(大阪府立成人病センター)
  • 山中 若樹(明和病院)
  • 斎藤 明子(東京女子医科大学消化器病センター)
  • 上本 伸二(京都大学医学部)
  • 金子 弘真(東邦大学医学部)
  • 住野 泰清(東邦大学医学部)
  • 大河内 信弘(筑波大学人間総合科学研究)
  • 福田 邦明(筑波大学人間総合科学研究)
  • 宮川 眞一(信州大学医学部)
  • 田中 榮司(信州大学医学部)
  • 太田 哲生(金沢大学医薬保健研究域)
  • 金子 周一(金沢大学医薬保健研究域)
  • 西垣 洋一(岐阜市民病院)
  • 足立 尊仁(岐阜市民病院)
  • 河田 則文(大阪市立大学)
  • 島田 光生(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 竹中 英喬(徳島大学病院)
  • 古藤 和浩(九州大学医学部)
  • 山口 幸二(産業医科大学医学部)
  • 原田 大(産業医科大学医学部)
  • 馬場 秀夫(熊本大学生命科学研究部)
  • 佐々木 裕(熊本大学生命科学研究部)
  • 北野 正剛(大分大学医学部)
  • 清家 正隆(大分大学医学部)
  • 高松 督(武蔵野赤十字病院)
  • その他(当研究班の分担者は46名。その他の分担者については研究報告書を参照。)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,082,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝細胞癌(HCC)に対する肝切除とラジオ波焼灼療法(RFA)の短期成績はともに良好だが、長期的な優劣は不明である。本研究では初発HCCに対する肝切除とRFAの有効性について、多施設共同無作為化比較試験(SURF-RCT)とコホート研究(SURF-cohort)により、総合的に評価する。
研究方法
造影CT上、典型的初発HCCと診断され、3個以下3cm以下、Child-Pugh score 7点以下の症例をSURF-RCTの対象とし、同意が得られれば、無作為に手術群or RFA群に割り付けて治療し、その後、同一の方法でフォローする。このRCTは全生存、無再発生存を主評価項目、登録目標1群300例とする。RCTの同意が得られない患者にはコホート研究の説明を行い、フォローする。独立データモニタリング委員会を組織し、プロトコルとデータ解釈の妥当性を担保した。データのquality controlのため、データセンターをNPO法人日本臨床研究支援ユニットに設置した。
平成21年秋に多施設共同研究の態勢をほぼ整え、今年度には参加施設は104施設に、研究分担者も増員した。症例検討会、学術講演会、市民公開講座を開催し、研究計画の周知に努めた。
結果と考察
症例登録数は平成24年3月21日現在、RCT 172例、cohort 471例となった。
登録終了3年後に無再発生存に関し解析、結果を公表する予定であったが、症例登録数は当初の予定に届かなかった為、平成23年度第2回班会議において討議の結果、SURF-RCTの登録期間を2年延長することとなった。プロトコールは改定され、平成24年3月27日、東京大学倫理委員会の承認を得た。
結論
当課題の重要性は高く、国内外で注目されていること、公的研究費(厚労省科研費)のサポートを得た研究であり、今までに費やした資金と労力を考えると、現時点での試験中止は避けるべきであると第2回班会議において議決した。症例登録期間は延長することとなったが、エビデンスの高い研究結果を発信することは肝がん診療で世界をリードする日本の使命でもあるので、今後も症例の集積に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201119015B
報告書区分
総合
研究課題名
初発肝細胞癌に対する肝切除とラジオ波焼灼療法の有効性に関する多施設共同研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
國土 典宏(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 幕内 雅敏(日本赤十字社医療センター)
  • 小俣 政男(山梨県立病院機構)
  • 小池 和彦(東京大学医学部附属病院)
  • 椎名秀一朗(東京大学医学部附属病院)
  • 長谷川 潔(東京大学医学部附属病院)
  • 赤羽 正章(東京大学医学部附属病院)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科)
  • 松山 裕(東京大学大学院医学系研究科)
  • 工藤 正俊(近畿大学医学部)
  • 有井 滋樹(東京医科歯科大学)
  • 前原 喜彦(九州大学医学部)
  • 高山 忠利(日本大学医学部)
  • 久保 正二(大阪市立大学)
  • 大﨑 往夫(大阪赤十字病院)
  • 山田 晃正(大阪府立成人病センター)
  • 山中 若樹(明和病院)
  • 斎藤 明子(東京女子医科大学 消化器病センター )
  • 上本 伸二(京都大学医学部)
  • 金子 弘真(東邦大学医学部)
  • 住野 泰清(東邦大学医学部)
  • 大河内 信弘(筑波大学人間総合科学研究科)
  • 福田 邦明(筑波大学人間総合科学研究科)
  • 宮川 眞一(信州大学医学部)
  • 田中 榮司(信州大学医学部)
  • 太田 哲生(金沢大学医薬保健研究域)
  • 金子 周一(金沢大学医薬保健研究域)
  • 西垣 洋一(岐阜市民病院)
  • 足立 尊仁(岐阜市民病院)
  • 河田 則文(大阪市立大学)
  • 島田 光生(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 竹中 英喬(徳島大学病院)
  • 古藤 和浩(九州大学医学部)
  • 山口 幸二(産業医科大学医学部)
  • 原田 大(産業医科大学医学部)
  • 馬場 秀夫(熊本大学生命科学研究部)
  • 佐々木 裕(熊本大学生命科学研究部)
  • 北野 正剛(大分大学医学部)
  • 清家 正隆(大分大学医学部)
  • 高松 督(武蔵野赤十字病院)
  • その他(当研究班の分担者は46名。その他の分担者については研究報告書を参照。)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝細胞癌(HCC)に対する肝切除とラジオ波焼灼療法(RFA)の短期成績はともに良好だが、長期的な優劣は不明である。本研究では初発HCCに対する肝切除とRFAの有効性について、多施設共同無作為化比較試験(SURF-RCT)とコホート研究(SURF-cohort)により、総合的に評価する。
研究方法
造影CT上、典型的初発HCCと診断され、3個以下3cm以下、Child-Pugh score 7点以下の症例をSURF-RCTの対象とし、同意が得られれば、無作為に手術群or RFA群に割り付けて治療し、その後、同一の方法でフォローする。このRCTは全生存、無再発生存を主評価項目、登録目標1群300例とする。RCTの同意が得られない患者にはコホート研究の説明を行い、フォローする。独立データモニタリング委員会を組織し、プロトコルとデータ解釈の妥当性を担保した。データのquality controlのため、データセンターをNPO法人日本臨床研究支援ユニットに設置した。
平成21年秋に多施設共同研究の態勢をほぼ整え、今年度には参加施設は104施設に、研究分担者も増員した。症例検討会、学術講演会、市民公開講座を開催し、研究計画の周知に努めた
結果と考察
症例登録数は平成24年3月21日現在、RCT 172例、cohort 471例となった。
登録終了3年後に無再発生存に関し解析、結果を公表する予定であったが、症例登録数は当初の予定に届かなかった為、平成23年度第2回班会議において討議の結果、SURF-RCTの登録期間を2年延長することとなった。プロトコールは改定され、平成24年3月27日、東京大学倫理委員会の承認を得た。
結論
当課題の重要性は高く、国内外で注目されていること、公的研究費(厚労省科研費)のサポートを得た研究であり、今までに費やした資金と労力を考えると、現時点での試験中止は避けるべきであると第2回班会議において議決した。症例登録期間は延長することとなったが、エビデンスの高い研究結果を発信することは肝がん診療で世界をリードする日本の使命でもあるので、今後も症例の集積に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201119015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
症例登録は全306例に達したが、登録ペース遅延のため、独立データモニタリング委員会より目標の600例登録は困難と判断された。中間解析を施行し、その結果をもとに2016年2月に登録中止を決定した。現在経過観察中、2019年と2021年に解析を行う予定である。306例という登録数は過去の同種の試験の中では最多であり、客観的なデータをもとに患者にとって真に利益のある治療が何かが明らかになると期待される。エビデンスを構築する臨床研究の意義を世に知らしめ、EBMの展開にも貢献すると思われる。
臨床的観点からの成果
肝切除かRFAか、患者にとって真に利益のある治療が何であるかが明らかになると期待される。各施設において得手・不得手によらず、治療法が一定水準以上で施行されること、すなわちがん治療の均てん化につながると期待される。
ガイドライン等の開発
試験の延長が班会議において決定し、結果の公表は先に行われることとなったが、得られる結果は今後の肝癌診療ガイドライン改訂に反映され、わが国の肝癌診療の現場に大きなインパクトを与えると考えられる。
その他行政的観点からの成果
癌の再発率という観点で考えると、長期的に再発率の低い治療が標準治療として選択されれば、医療の無駄を省き、医療費の抑制に寄与する可能性がある。エビデンスの高い研究結果を早く発表できるよう症例の集積に努めたい。
その他のインパクト
■東京大学医学部附属病院にて記者発表(H21/6/9)
読売新聞(H21/6/18夕刊),共同通信社(H21/6/30)に掲載。週刊文春掲載(H22/5/27)
■市民公開講座を開催(日本対がん協会共催、東京肝臓友の会後援)
H21/11/14:秋葉原コンベンションホール
H22/11/27:大手町サンスカイルーム
H23/11/12:大阪国際交流センター
H23/12/17:熊本市医師会館
H23/12/18:新宿NSビル
■学術講演会(対象:医師)2回、症例検討会(研究グループ内)3回開催

発表件数

原著論文(和文)
42件
原著論文(英文等)
362件
その他論文(和文)
16件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
10件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hasegawa K, Kokudo N, Shiina S, et al.
Surgery versus radiofrequency ablation for small hepatocellular carcinoma: Start of a randomized controlled trial (SURF trial).
Hepatol Res , 40 , 851-852  (2010)
原著論文2
長谷川潔、國土典宏、建石良介、他.
優劣の実証 -SURF Trailの構想-
Liver Cancer J , 3 (2) , 33-40  (2010)
原著論文3
井上陽介、長谷川潔、國土典宏
小肝癌の治療- 手術 vs RFA
外科治療 , 105 (5) , 453-560  (2011)
原著論文4
長谷川潔、國土典宏
「SURF trialについて」(初発肝細胞癌に対する肝切除とラジオ波焼灼療法の有効性に関する多施設共同研究)
Hepatoday , 24 , 12-  (2011)
原著論文5
長谷川潔、菅原寧彦、國土典宏
「肝細胞癌の外科治療に関する臨床試験」特集” いま必要な外科治療に関する臨床試験の最新知識”
臨床外科 , 66 (5) , 588-595  (2011)
原著論文6
Kokudo N, Makuuchi M.
Evidence-based clinical practice guidelines for hepatocellular carcinoma in Japan: the J-HCC guidelines.
J Gastroenterol , 44 (19) , 19-121  (2009)
原著論文7
Hasegawa K, Kokudo N, Sano K, et al.
Single HCC between 2 and 5 cm: the grey zone.
J Hepato-Biliary-Pancreat Sci , 17 (4) , 430-433  (2010)
原著論文8
長谷川潔、青木琢、菅原寧彦、他
ガイドラインの解説と検証
消化器外科 , 34 (7) , 1027-1035  (2011)
原著論文9
Higashi T, Hasegawa K, Kokudo N, et al.
Demonstration of quality of care measurement using the Japanese liver cancer registry.
Hepatol Res , 41 (12) , 1208-1215  (2011)
原著論文10
Kudo M, Izumi N, Kokudo N, et al. HCC Expert Panel of Japan Society of Hepatology.
Management of hepatocellular carcinoma in Japan: Consensus-Based Clinical Practice Guidelines proposed by the Japan Society of Hepatology (JSH) 2010 updated version.
Dig Dis , 29 (3) , 339-364  (2011)
原著論文11
Kishi Y, Hasegawa K, Sugawara Y, et al.
Hepatocellular Carcinoma: Current Management and Future Development - Improved Outcomes with Surgical Resection.
Int J Hepatol , 2011  (2011)
原著論文12
Ikeda M, Hasegawa K, Sano K, et al.
The vessel sealing system (LigaSure) in hepatic resection: a randomized controlled trial.
Ann Surg , 50 (2) , 199-203  (2009)
原著論文13
Ishizawa T, Mise Y, Aoki T, et al.
Surgical technique: new advances for expanding indications and increasing safety in liver resection for HCC : The Eastern perspective.
J Hepatobiliary Pancreat Surg , 17 (4) , 389-393  (2009)
原著論文14
Yamamoto K, Imamura H, Matsuyama Y, et al.
Significance of alpha-fetoprotein and des-gamma-carboxy prothrombin in patients with hepatocellular carcinoma undergoing hepatectomy.
Ann Surg Oncol , 16 (10) , 2795-2804  (2009)
原著論文15
Inoue Y, Hasegawa K, Ishizawa T, et al.
Is there any difference in survival according to the portal tumor thrombectomy method in patients with hepatocellular carcinoma?
Surgery , 145 (1) , 9-19  (2009)
原著論文16
Ishizawa T, Hasegawa K, Kokudo N, et al.
Risk factors and management of ascites after liver resection to treat hepatocellular carcinoma.
Arch Surg , 144 (1) , 46-51  (2009)
原著論文17
Arita J, Takahashi M, Hata S, et al.
Usefulness of contrast-enhanced intraoperative ultrasound using Sonazoid in patients with hepatocellular carcinoma.
Ann Surg , 254 (6) , 992-999  (2011)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201119015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,500,000円
(2)補助金確定額
24,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,274,616円
人件費・謝金 2,428,264円
旅費 1,936,627円
その他 9,378,285円
間接経費 4,418,000円
合計 24,435,792円

備考

備考
自己資金 792円(人件費と謝金を見込みで計上していたが、実際は若干不足したため)

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-